2004 Fiscal Year Annual Research Report
東チベットの言語分布と伝播経路を探究するための地名研究
Project/Area Number |
16652028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 巧 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (90259250)
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Keywords | 甘孜藏族自治州 / 阿〓藏族羌族自治州 / チベット語カム方言 / 地名の音訳漢字 |
Research Abstract |
東チベット地域の地名と地理、および言語分布に関する諸資料を、文献調査とフィールド調査により収集した。 ■文献調査では、中国四川省成都市の四川民族研究所ならびに西南民族学院に赴き、甘孜(ガンヅェ)藏(チベット)族自治州ならびに阿〓(アパ)藏(チベット)族羌(チアン)族自治州の各県ごとに編集された『地名録』を閲覧し、漢語による音訳表記の地名と民族語の対応ならびにその意味についての基本的な記述資料を収集したほか、古書肆を通じて『地名録』の一部と1991年に国家測絵局の発行した『藏語(徳格話)地名漢字譯音規則』を入手することができた。これらの資料により、東チベット地域の音訳漢字とチベット語の綴字との対応関係が判明した。これらの資料を利用することで、東チベット地域の地名の音訳漢字からチベット語の綴り字への復元する手がかりと信頼に足る有力な根拠が得られるようになった。 ■フィールド調査では、地名の音訳漢字の基づく現地の言語の発音を調査すべく、西南民族学院ならびに成都在住の研究者に当該地域の言語の話し手の捜索を依頼した。うまく発話協力者が見つかれば、,次年度以降に現地調査を行なう予定で準備を進めている。今年度はまず東チベット(=四川省西部)地域で地域共通語として話されているチベット語カム方言の音韻体系について、西南民族学院の学生の協力を得てインタビュー調査を行なうとともに、カム方言の伝播と構造分析、ならびに現地で話される諸言語に関わる資料の収集を行なった。
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