2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16652054
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
麓 慎一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教授 (30261259)
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Keywords | クリル / 千島列島 / アイヌ / 樺太・千島交換条約 / 北海道 / 同化政策 / 千島調査 / 報效義会 |
Research Abstract |
本年度は、昭和10年代の千島列島に関する基礎的な資料を調査し収集することができた。本資料は北海道庁が千島列島の再開発のために作成した詳細な調査報告である。北海道農業センターに所蔵されている当該資料を、全て複写し入手することができた。昭和10年代における千島列島の状況だけでなく、諸問題に関する沿革や歴史的変遷についても記されており、多くの新しい知見を得ることができた。本センターが所蔵している千島列島の写真資料や建築図面などについてもCDロムで入手することができた。これまの明治期における千島列島の分析を踏まえた上で、昭和期まで分析範囲を拡大することで、近代日本とクリル諸島の関係を総体的に分析することが可能になった。具体的な研究の進展としては、明治期の千島列島のアイヌの強制移住の問題についての資料を収集して分析することができた。これまでは明治政府の千島アイヌに対する政策面を中心に分析してきたが、本年は実際にシコタン島に移住させられた後のアイヌに対する宗教的な教化政策に関与した宗教者の資料とこの問題を報じた宗門系の新聞などについても入手し分析することができた。さらに、この移住政策が成功せず、再びシコタン島のアイヌが離散する過程についても解析できた。大局的には日本政府、北海道庁、千島列島の行政機関など政策過程研究と宗教者や漁業者による千島列島への関与に関する研究を統合することでクリル列島を日本近代史の中に位置づける作業を進行させることができた。
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