2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16652055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小泉 順子 京都大学, 東南アジア研究所, 助教授 (70234672)
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Keywords | 華僑・華人 / 移民 / 社会経済史 |
Research Abstract |
本研究はタイ湾沿岸地域の主要都市における中国式廟に関するデータを収集・整理することを目的としており、海外フィールド調査+タイ国立公文書館(在バンコク)所蔵の関連タイ語公文書史料調査がその核心をなしている。本年度は予備調査として、バンコク及びタイ湾沿岸地域でフィールド調査、文献調査を実施した。 まず8月末から10月初旬、約6週間をかけてタイ国立公文書館を中心に、19世紀末から20世紀初頭のタイ(シャム)における中国人(華僑)コミュニティに関する文献・史料調査を実施した。首都省の公文書史料を中心に、タイ湾沿岸諸地域における中国人の諸活動に関する史料を収集することができた。20世紀初頭には、廟の土地をめぐる裁判のケースも記録されるなど、興味深い史料を獲得することができた。 続いて、12月と2月にもそれぞれ数日にわたりタイを訪問し、文献調査とフィールド調査を実施した。大学図書館などにおける文献資料調査に加え、12月初旬にはバンコクの伯公古廟の年次祭祀を観察し、2月中旬には、チャンタブリーにて3つの廟を訪れて調査をした。前者は、中国廟ながらタイナショナリズムのヒーローを祀る興味深い廟であるが、年次祭祀では、中国的な獅子舞や龍の踊りなどとともに、仏教僧を招いた儀礼やタイダンスの奉納なども見られた。またチャンタブリーにおいては、上座仏教の寺院と中国寺との融合例、タイの神と中国神との並存例が観察された。 なおタイ湾西岸、マレー半島の調査は、治安の悪化から今年は断念した。
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