2004 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀東欧とアメリカ合衆国の移民の社会史-第一次世界大戦期を中心に
Project/Area Number |
16652056
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 明代 名古屋市立大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (70363950)
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Keywords | 東欧史 / アメリカ合衆国史 / 移民 / 第一次世界大戦 / アメリカ化運動 / ハンガリー / スロヴァキア / ルシン |
Research Abstract |
本研究は、20世紀東欧の政治変動に対し、アメリカ合衆国における東欧移民出身の各移民集団がいかなる動向を示したのか、東欧各国・送出地域と受け入れ政府、各移民居住地における要因を複眼的に考察することによって、移民集団の政治意識、帰属意識のあり方、歴史認識を解明することを目的とする。今年度は、研究の初年度であることから、第一次世界大戦期の東欧とアメリカ合衆国における東欧移民関連文献を収集し、研究手法の分析と問題点の整理を行った。なかでも、主要な論点となりうる(1)合衆国におけるアメリカ化運動、(2)第一次世界大戦への従軍、(3)労働運動とストライキ、(4)チェコスロヴァキア共和国の成立、(5)トリアノン講和条約に関する一次史料の所在とデータの蓄積を行った。(1)に関連しては、コミュニティにおける展開を解明するために、オハイオ州クリーヴランドにおけるアメリカ化運動の事例を検討し、公共図書館と図書館司書の役割を中心に、アメリカ化委員会や故国の政府・文化リーダーと各東欧移民の文化リーダーとの連携関係について分析を行った。その成果は、東欧移民のアーカイブズについて考察した研究の一部として論文を執筆すると共に、現代史研究会(2004年6月19日)、日本国際文化学会(7月3日)、関西アメリカ史研究会(2005年1月23日)にて報告を行った。(2)から(5)の課題に関しては、アメリカ合衆国シカゴの歴史協会とイリノイ大学特別コレクション、ワシントン.DC.の国立文書館、ハンガリーの国立文書館において、文書館員や専門家から助言を受け、一次史料の検索と収集を行った。シカゴにおける東欧移民コミュニティの動向調査の成果の一部は論文の一部としてまとめた。次年度は、今年度の基礎的調査によるデータ蓄積に基づき、(1)と(2)、(4)と(5)の課題について、コミュニティ・レベルでの事例調査とその考察を深化させるとともに、相互を関連付ける理論的枠組みを構築することを課題とする。
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Research Products
(2 results)