2005 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀東欧とアメリカ合衆国の移民の社会史-第一次世界大戦期を中心に
Project/Area Number |
16652056
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 明代 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 助教授 (70363950)
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Keywords | 東欧史 / アメリカ合衆国史 / 移民 / 第一次世界大戦 / アメリカ化運動 / ハンガリー / スロヴァキア / ルシン |
Research Abstract |
本研究は、20世紀東欧の政治変動に対し、アメリカ合衆国における東欧移民出身の各移民集団がいかなる動向を示したのか、東欧各国・送出地域と受け入れ政府、各移民居住地における要因を複眼的に考察することによって、移民集団の政治意識、帰属意識のあり方、歴史認識を解明することを目的とする。今年度は、昨年度行った文献と一次史料の収集と分析をふまえて、さらに、コミュニティ・レベルでの事例調査を進めた。とくに国外における一次史料の収集と分析に力を注ぎ、アメリカ合衆国ワシントンにあるアメリカ合衆国議会図書館と国立公文書館、オハイオ州クリーヴランドにある歴史協会と公共図書館、ミネソタ大学移民史研究センター、ハンガリーの国立文書館、国立図書館などで調査を行い、研究者や専門家からの助言を受けるとともに、意見交換を行った。本研究の主要な論点(1)合衆国におけるアメリカ化運動、(2)第一次世界大戦への従軍、(3)労働運動とストライキ、(4)チェコスロヴァキア共和国の成立、(5)トリアノン講和条約のうち、(1)と(2)について、東欧史研究会2006年1月例会(1月28日)にて、報告「第一次世界大戦期アメリカ合衆国の東欧移民-ハンガリー系コミュニティの『愛国心』の社会的基盤」を行った。これは、第一次世界大戦下のアメリカ合衆国のハンガリー系コミュニティに焦点をあて、「二重の忠誠心」、愛国心を支えた社会的基盤を検証することによって、戦争時におけるナショナリズムの発現のあり方を考察したものである。また、(4)については、連携研究「地域研究における記述」研究会(2006年3月20日)において、報告「移民史研究における資料と記述-アメリカ合衆国へのスロヴァキア系移民を中心に」を行い、スロヴァキア系移民のアイデンティティの問題をチェコスロヴァキア共和国の成立との関連で論じた。これらの研究成果については、現在論文を執筆しており、近く投稿する予定である。
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