2005 Fiscal Year Annual Research Report
行為論的アプローチによる日本人の南洋進出-アホウドリを中心にして-
Project/Area Number |
16652061
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
平岡 昭利 下関市立大学, 経済学部, 教授 (90106013)
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Keywords | アホウドリ / グアノ / 先占 / ミッドウェー諸島 / 北西ハワイ諸島 |
Research Abstract |
平成17年度の研究は、主にアホウドリを行為目的とした日本人のミッドウェー、北西ハワイ諸島への進出について検討した。 アホウドリを行為目的とした日本人の大平洋への進出は、1897(明治30)年頃になると一段と活発化し、ミッドウェー・北西ハワイ諸島まで達し、「バード・ラッシュ」と言えるほどであった。1899年には、民間から明治政府にミッドウェー諸島での借地願いやアホウドリの顧客願いが提出され、外務省はこれらについてハワイ領事に調査を命じた。 このため、すでに「グアノ」を求め、中部太平洋で多くの島々を領有していたアメリカ政府にとって、これらの島々への日本人の進出・居住は、国際法でいう「先占」という点から、自国の主権が侵されるとの懸念を示したのであった。 明治政府においても、一時、これら島々の主権の主張を検討したものの、結果的には主権を主張せず、これらの日本人は、鳥の捕獲という事業を行っているだけであるとアメリカ政府に通牒をした。だが、ミッドウェー諸島に上陸したアメリカ海軍の調査船は、うず高く積みあげられた無数とも言える鳥の死骸を発見し、これを報じた新聞によって日本人批判が起こり、その反響は極めて大きかった。その後も、これらの海域には日本人が続々と進出し、アホウドリなどの鳥類の密猟が続けられた。1909年、アメリカ大統領ルーズベルトは、日本人の密猟排除のため「国立ハワイ諸島野生生物保護区」を設定したのであった。 この研究によって、アホウドリを行為目的として日本人が北西ハワイ諸島まで進出していたことや、鳥類保護区設定に大きな関わりがあったことなどを明らかにした。
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Research Products
(1 results)