2004 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカ・マー語系社会における廃物利用のヴァーチャル・ミュージアム構築
Project/Area Number |
16652064
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
湖中 真哉 静岡県立大学, 国際関係学部, 助手 (30275101)
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Keywords | 東アフリカ / マー語系 / 廃物利用 / ヴァーチャル・ミュージアム / 商品経済 / 物質文化 / 貧困の文化 / 環境教育 |
Research Abstract |
本研究は、東アフリカのマー語系諸社会を対象とした人類学的な現地調査を実施することにより、その廃物利用の実態を解明することを調査目的とする。平成16年度は、7月29日から9月26日にかけて、ケニアに海外出張し、サンプルを対象とした調査研究を実施した。 調査においては、サンプル県のロロキ郡、バラゴイ郡において特定の世帯を訪問して、廃物利用を中心とした物質文化サーヴェイを行い、その世帯が保有している全物品の悉皆調査を行った。従来の調査成果が蓄積されている場合については、その追跡調査を行った。その結果、家畜の乳容器は、女性同士の交換回路にそってやりとりされており、決して売買されないことや、小学校の学童間では、制服や学用品の無償譲渡がみられる等の特徴が判明した。 また、サンプルにおける廃物の実態を解明するために、ロロキ郡、バラゴイ群において、特定家屋の周囲半径10mに散乱している廃物全点の収集を行い、その廃物に関するインタビューを行った。さらに、サンプルの廃物観に関するインタビューを行い、サンプルが家畜の皮、糞、尿等は「廃物」として認識していない一方、1980年代の旱魃救援食配給以降にもたらされた近代的物品が廃棄された場合は「廃物」として認識していることがわかった。以前より実施しているロロキ郡の特定の世帯を対象とした世帯経済の調査は、本年度も継続し、ほぼ半年にわたる家畜および現金の収支に関する資料を収集した。 調査研究の成果は、これまで研究代表者が受けた科学研究費補助金の成果とあわせて、日本アフリカ学会および日本文化人類学会(連合シンポジウム)の学術大会で口頭発表し、韓国で開催された特定領域研究「資源の分配と共有に関する人類学的研究」主催の日韓合同国際ワークショップにおいても口頭発表した。今後は、調査資料の整理を進め、ヴァーチャル・ミュージアム構築の準備作業を行う予定である。
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