2005 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカ・マー語系社会における廃物利用のヴァーチャル・ミュージアム構築
Project/Area Number |
16652064
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
湖中 真哉 静岡県立大学, 国際関係学部, 助手 (30275101)
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Keywords | 文化人類学 / 民族学 / 東アフリカ / 物質文化 / 廃物資源利用 / 貧困の文化 / 牧畜社会 / ケニア |
Research Abstract |
本年度は、1、物質文化データーベースの構築作業については、調査資料の整理分析とテジタル変換を行い、サンブル社会における物質文化と野生の動植物利用に関するマルチメディア・データーベースを作製する作業を進めた。また、2、研究成果のウェブ上における公開については、廃物資源利用のヴァーチャル・ミュージアムのサイト設計を行った。また、昨年度、韓国で開催された特定領域研究主催の日韓合同国際ワークショップにおいて口頭発表したサンプルの廃物資源利用に関する報告を論文としてまとめた(印刷中)。 廃物資源利用と関連する小生産物資源研究の理論的な展望については、10月22日に、山梨県環境科学研究所にて開催された同特定領域研究の研究会において口頭発表した。その主な内容は、下記の通りである。 第一に、廃物資源利用と深く関わる小生産物、小商品関連の諸概念を整理し、両概念が残余カテゴリーとして扱われてきたことを検証した。第二に、小商品へのアプローチ方法として、商品学、世界システム論、モノの社会生活論の三つを概観した。第三に、アフォーダンス理論の特徴を価値実在論として位置付け、資源のモードとして、本源、生存資源、商品資源の三つを定式化し、その三者の関係を資源の並列的接合モデルとして提示した。第四に、アフォーダンス理論における社会性の所在を探索し、ギブソンの公共的認識概念に、文化を越えたアフォーダンスの公共性論への突破口を見出した。そして、第五に、この議論に実践共同体論や組織化論を組み合わせることにより、「資源共同体」の理論を構築した。また、この観点から、文化の境界を越えて移動するモノについての理論的検討を行った。最後に、この資源共同体理論モデルが、周辺社会における「マイナー・グローバリゼーション」の理論として有効である可能性を示唆した。今後、この理論的展望に基づいて、民族誌的研究を深化させる予定である。
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