2005 Fiscal Year Annual Research Report
民間ハンセン病療養所の生活世界に関する文化人類学的研究-国立療養所との比較から-
Project/Area Number |
16652065
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
加藤 尚子 国際医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教授 (70294858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 須美子 東洋大学, 社会学部, 助教授 (50240099)
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Keywords | ハンセン病 / 民間療養所 / 国立療養所 / ライフヒストリー / 結婚 / 断種・中絶 / 子供 / 社会復帰 |
Research Abstract |
本研究は、文化人類学の立場からハンセン病の療養所を一つの文化的空間として捉え、関係者自身の「語り」によってその生活世界の様相と変遷を明らかにすることを目的とする。最終年度である今年度は、調査対象である民間のハンセン病療養所、身延深敬園における調査をほぼ終了し、まとめの作業と補足のための現地調査を行った。民間との比較対照のために、国立ハンセン病療養所の関係者にも聞き取り調査を行った。 1.文献研究と資料収集 ハンセン病に関する先行研究をレビューして、分析概念の整理を行った。また、ハンセン病元患者や関係者が書いた手記や文学作品において、療養所の生活がどのように描かれているのかを時代区分ごとに整理した。分析結果を研究分担者の山本が論文にまとめた(研究発表参照)。 2.身延深敬園関係者への聞き取りのまとめ 深敬園の元経営者とその家族、及び元入園者たちに、明治の創業以来の園の歩みについて聞き取り調査を行った。その証言をまとめた聞き取り集を編集し、出版した(研究発表参照)。 3.国立ハンセン病療養所関係者への聞き取り調査 星塚敬愛園の入園者、元入園者の子供、支援者たち、駿河療養所の元所長ら関係者に、療養所の生活全般、特に結婚生活や中絶胎児問題についての聞き取り調査を行った。 3.比較分析 以上の調査結果をまとめ、療養所の生活世界を検証した。民間施設と国立療養所との比較分析によって両者の相違点の起因を検討し、さらに相違の根底にある普遍性を究明した。分析結果は平成18年中に報告書としてまとめ、ハンセン病の当事者たちが辿ってきた現実を、療養所の内側から検証することで、社会全体のハンセン病に対する差別意識と迫害の歴史を再提示したい。
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Research Products
(3 results)