2004 Fiscal Year Annual Research Report
文化遺産概念の体系化のための基礎的研究-その国際的衝突と無形化の動きを見すえて
Project/Area Number |
16653004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河野 俊行 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (80186626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 幸夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20159081)
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Keywords | 無形遺産条約 / 無形的側面 / 石の文化 / バイエルン州の言語・風俗 / オーバーアマガウ / 少数言語 / 受難劇 |
Research Abstract |
2003年秋のユネスコ総会において無形遺産条約が採択されたことを機として、わが国では、「無形遺産」に関する関心が高まりつつあるが、無形遺産とは何か、有形遺産の無形的側面をどう考えるべきか、というより大きい問題としてはまだ十分検討が始まっているとはいえない。このことを考えるためには、逆に、むしろ無形遺産という考え方そのものをもたなかった国において、これがどう受けとめられるか、を考察してみることが有益ではないか、と考えるにいたった。具体的には、石の文化圏に属するドイツにおいて無形的側面を考察することとし、ミュンヘン大学と共同して調査を進めることにした。それは、第一に、バイエルン州における言語・風俗の保存活動における現状と課題、第二に、バイエルン州オーバーアマガウを代表とする受難劇の沿革と現状と課題、第三に、ドイツにおける少数言語の保護の現状、という3点に関して調査をすることである。第1の点は具体的にはバイエルンの民俗衣装の保存と普及活動、バイエルン方言の保存について実態調査を行い、その成果を取りまとめ中である。第2の点については、受難劇の歴史的背景、その発展の経緯、現代化の経過、いくつかの法的紛争、村民自治の現状、カトリック教会との関係、他地域の受難劇等についての現状調査を遂行中である。第3の点については、少数言語保護のためのヨーロッパ評議会条約に対するドイツの対応について検討を進めている。
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