2005 Fiscal Year Annual Research Report
文化遺産概念の体系化のための基礎的研究-その国際的衝突と無形化の動きを見すえて
Project/Area Number |
16653004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河野 俊行 九州大学, 大学院法学研究院, 教授 (80186626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 幸夫 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (20159081)
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Keywords | 無形文化遺産 / ユネスコ / 代表的リスト / コミュニティー / 専門家会合 / 有形遺産 / 戦時 / 条約 |
Research Abstract |
ユネスコの無形文化遺産の保護に関する条約(2003年採択)の批准国が着実に増えつつある状況をにらみつつ(ちなみに2006年1月20日にルーマニアが批准したことによって30カ国の批准が集まり、これによって同年4月20日にこの条約は発効することとなった)、今年度は、その実効性ある保護のあり方を具体的に検討することを中心に研究を進めた。そのため、実態調査を行い、また有形文化遺産の保護に関しても研究を行った。無形文化遺産の保護に関しては、2005年12月にユネスコに招かれ、専門家会議に参加して「代表的無形文化遺産リスト」の搭載基準について議論した際に、これまでの研究成果を生かしつつ発言を行った。また同様に、2006年3月には、ユネスコアジア文化センターとユネスコの共催の形で開催されたもので、コミュニティーと無形文化遺産保護のかかわりを取り扱った専門家会合に招かれた。そこでも、本研究の成果を踏まえた議論を展開し、また議長として会議を取りまとめた。この専門家会議の成果は、今年中に予定されている無形文化遺産の保護に関する条約政府間委員会の事務局案として提案される予定であり、また近々ユネスコのウエブサイトで世界に向けて公表され発信される予定である。有形文化遺産に関しては、無形文化遺産の戦時における保護を考えるにあたって重要となるため、戦時における有形文化財の保護システムを国際法の観点から研究、分析した。その成果は小品として発表した。
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