2004 Fiscal Year Annual Research Report
ε-エントロピーなどの情報量を用いた株価変動解析手法の開発
Project/Area Number |
16653016
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Research Institution | Tokyo University of Science, Suwa |
Principal Investigator |
松岡 隆志 諏訪東京理科大学, 経営情報学部経営情報学科, 講師 (90328568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢 正則 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 教授 (90112896)
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Keywords | 情報量を用いた株価変動解析 / ε-エントロピー / 幾何ブラウン運動 / パレート分布 / 調整済みのデータ / ε-エントロピーの新しい計算式 |
Research Abstract |
平成16年度の当該研究の成果及び進捗状況は下記のとおりである。 (1)すでに存在する解析結果の再検討:文献「T.Matsuoka, M.Ohya ; "A New Measurement of Time Serial Correlations in Stock Price Movements and Its Application", Proceedings of the Meijo Winter School on Quantum Information and Complexity Jan.2003, World Scientific, pp.340-361(2004)」の内容を、著者(研究代表者&研究分担者)及び海外の共同研究者であるR.Monte氏、L.Accardi氏と検討し、次の見解を得た。 (1-a)情報量を用いた株価変動解析は過去に例のないものであり、ヒストリカルな株価データから得られる頻度分布の情報量を直接に計算して株価変動を特徴付けるという方法論の利便性は、他の方法論と比べても高いものがある。ただし、上記の文献で得られた結果(実際の株価変動は、幾何ブラウン運動とは異なる。)は、過去の他の実証研究によってもすでに指摘されている結果であり、その意味での新規制は低い。近年、「実際の株価変動はパレート分布に従う。」という視点が何人かの研究者から提言されているが、その検証に関する実証研究は、研究代表者および共同研究者の知る限り存在しない。共同研究者等との検討の結果、我々の方法論を用いれば、「実際の株価変動とパレート分布に従う確率過程との類似点と相違点を検出する。」ことは可能と判断できたので、平成17年度にその実証研究を行う。 (1-b)上記文献の対象となったヒストリカルな株価データは、株式分割等に関する調整を行ったデータ、所謂「調整済みデータ」ではなかった。現在の金融工学で了解されている前提に従えば、「調整済みデータ」に対して解析を行う必要がある。よって、(株)日経メディアマーケティングから、日経225、TOPIX、一部上場の40銘柄の「調整済みデータ」を購入した。この「調整済みのデータ」に対して(1-a)の実証分析を行う。 (2)ε-エントロピーのより一般的な計算式の導出:当該研究の指標であるε-エントロピーの、より一般的な条件での計算式の導出に向けて、研究代表者とR.Monte氏を中心に検討を重ねている。これに成功すれば、その新しい計算式を用いた(1-a)の実証研究も行う。これは、当該研究の内容とは独立に、情報理論の新しい結果と言えるものでもある。
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