2004 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカにおける医療保険制度改革の影響と効果に関する研究
Project/Area Number |
16653031
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
中浜 隆 小樽商科大学, 商学部, 教授 (10217812)
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Keywords | 医療保険 / 保険制度改革 / 料率規制 |
Research Abstract |
平成16年度は、1990年代において「新契約加入保証」「契約更新保証」「料率規制」などを内容(改革の手段)とする州政府の医療保険制度改革(おもに小雇用主医療保険の改革)が、保険者(ブルークロス・ブルーシールド、保険会社、HMO)の競争と収益性、(2)保険商品の構成、(3)企業(加入者)間の料率格差に与えた影響と効果について研究し、以下の点が明らかになった。 1.保険者間の競争と収益性については、料率規制が比較的厳しい州で保険会社の撤退が生じ、またおもにHMOの合併・統合が行われた(ただしこの点は医療保険制度改革とは基本的に関係はない)。しかし、保険者間において価格(料率)面と商品開発面で総じて競争的であり、したがって1990年代における保険者の収益性もアンダーライティング・サイクルを描くかたちで推移している。 2.保険商品の構成については、1990年代に小雇用主医療保険においてマネジドケアプラン(HMO商品やPPO商品など)が普及した。これは、おもに企業(雇用主)の保険料負担を抑制するためであるが、他方で医療保険制度改革によって促進された側面も存在している。 3.企業(加入者)間の料率格差については、上記の改革の手段のなかで「料率規制」は州ごとにもっとも大きく異なっている。料率規制は料率を全体的に抑制する(つまり料率の絶対額を抑制する)ものではなく、リスクの高い企業とリスクの低い企業のあいだの料率格差を抑制するものである。比較的厳しい料率規制を実施している州では、実際に企業(加入者)間の料率格差が抑制され、また「新契約加入保証」によってリスクの高い企業では医療保険の加入率が改善されている。
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