2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16653033
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高尾 裕二 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (60121886)
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Keywords | 会計基準 / 評価規準 |
Research Abstract |
企業の活動・状況の測定・報告という経済社会における重要な機能を担う会計システムを研究対象とする「会計理論」を、一つの理論体系としてみた場合、一つの決定的な弱点は、その理論体系内に、明示的で操作可能な評価装置が見当たらないことではないか、というのが本研究の主たるアイデアである。 本年度は、隣接諸科学における文献を渉猟し、評価装置とみなしうるものを抽出するとともに、会計理論に応用可能な評価装置を選別することであった。 (1)表現の忠実性、(2)利益計算構造、(3)概念フレームワークといった従来の会計理論で暗黙的に想定・利用されてきたと思われる会計基準の評価規準に加えて、(4)資本市場関連指標(株価、株式リターンないし理論的企業価値)、(5)取引コスト(あるいは契約コスト)、(6)ミクロ経済学における完全競争モデルに見合う完全会計モデル(これについては、アイデアのみで具体的な内容に踏み込んだ理論体系の構築については、次年度以降に検討予定)、(7)合理的期待モデル、寡占モデルなどを応用した会計情報分析モデルにみられる効用概念(会計情報の発行体サイド、会計情報の利用サイド、両者を統合した社会的厚生の3つに区分される)、(8)マクロ経済政策との整合性、の8つの会計理論に応用可能と思われる評価規準を識別し、その内容および会計基準を評価する装置としての長所・短所を検討することができた。 次年度以降は、さらにより広範な文献を渉猟するとともに、これらの評価規準の性格について詳しく検討するとともに、「よい会計基準、悪い会計基準」といったテーマで、実務家に対しての聞き取り調査を実施したいと考えている。
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