2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16653033
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高尾 裕二 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (60121886)
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Keywords | 会計基準 / 評価規準 / 複占モデル |
Research Abstract |
企業の活動・状況の測定・報告という経済社会における重要な機能を担う会計システムを研究対象とする「会計理論」を、「閉じた」理論体系としてみた場合、一つの決定的な欠陥は、その理論体系内に、明示的で操作可能な評価装置が特定されず、さらにいえば理論体系内に組み込まれることはほとんどないということではないか、というのが、本研究の主たるアイデアである。 本年度は、特に「契約の経済学」、「情報の経済学」および「法と経済学」といった隣接経済諸科学の文献を渉猟し、会計理論に組み込み可能な一連の評価装置を抽出し、次いで、会計理論により適合した評価装置を選別し、より具体的に、その評価装置を吟味・検討することであった。評価規準としては、(1)表現の忠実性、(2)利益計算構造、(3)概念フレームワーク、(4)資本市場関連指標、(5)取引コスト(契約コスト)、(6)ミクロ経済学にみられる完全競争市場モデル、(7)消費者余剰、生産者余剰、社会厚生といった経済的効用概念、(8)マクロ経済政策との整合性、の8つを抽出するとともに、その成果を踏まえて、寡占モデルを用いた(7)経済的余剰概念ないし効用概念が、会計基準の評価規準として利害関係者ごとに適用できるという意味で適切であると考え、現在、会計情報の利用を組み込んだ複占モデルの分析に関する文献を検討・展開中である。 次年度は、上記の展開中の議論を論文として公表を予定し、さらに会計規準の評価規準という視点から、経営者の開示行動に関する合理的期待モデルの分析などと比較するなど、より広範かつ複合的に会計基準に積雪な評価装置を検討する予定である。
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