2004 Fiscal Year Annual Research Report
社会政策の「公共性評価」に関する調査分析手法の開発
Project/Area Number |
16653036
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土場 学 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教授 (50253521)
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Keywords | 公共性 / 公共的価値 / 社会政策 / 社会調査 / 社会学 |
Research Abstract |
本年度は、まず、公共性の問題に関連する近年の理論研究の動向を調べ、資料並びに文献を収集し、その概要をまとめたうえで、公共性(公共的価値)をめぐる社会学的研究のための理論枠組みを構築した。それについては、次年度中に図書として刊行する予定である(土場学他編『正義の論理-公共的価値の規範的社会理論』勁草書房)。さらに、その成果を学会で報告し(第38回数理社会学会大会シンポジウム報告「『新しい公共性』の論理とリベラリズムの理念」)、また研究論文にまとめて専門学術誌に投稿した(投稿中)。こうした理論枠組みを踏まえて、現実の社会政策の公共性(公共的価値)を捉えるための調査分析手法について、専門研究者と意見交換しながら開発をすすめた。その結果、現段階で大枠において以下のような方針が定まった。すなわち、社会政策に関する行政の側の公共性評価はその「有効性(effectiveness)」を焦点としており、ゆえにそれを捉えるためには量的分析手法が適切であるが、社会政策に関する住民の側の公共性評価はその「妥当性(validity)」を焦点としており、ゆえにそれを捉えるためには質的分析手法が適切である。結局、それらを包括的に捉えるためには、量的分析と質的分析の結果を相互に「翻訳」するための調査デザインを考える必要がある。こうした方針を踏まえて、次年度では、専門研究者の協力をあおぎながら、具体的な社会政策の公共性評価を調査分析するための枠組みを構築し、ある特定の自治体を対象として試験的な調査を実施する予定である。
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