2004 Fiscal Year Annual Research Report
非対称動的ゲームと社会ネットワークの形成過程及びその構造に関する研究
Project/Area Number |
16653039
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
友知 政樹 中央大学, 総合政策学部, 助教授 (20365886)
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Keywords | 社会ネットワーク / エマージング・ネットワーク / 進化ゲーム理論 / 非対称動的ゲーム / 階級 / ダイナミック・モデル / マルチ・エージェント・モデル / シミュレーション |
Research Abstract |
H16年度における研究実績として、以下に説明する2つのモデル(モデル(1)およびモデル(2))とそれらに対応するコンピュータ・プログラムが構築された。まず、両モデルに共通するシナリオとして、時刻tにおいて各エージェントがネットワークを構築するに至るまでに、各エージェントは以下の3つのプロセスを経る。 (1)時刻tにおけるランダムな出会い、および紹介による出会い。 (2)時刻tにおける出会いを時刻t以降ネットワークとして発展させるか否かの意思決定。 (3)時刻t-1における既存のネットワークを時刻t以降もネットワークとして保持するか否かの意思決定。 モデル(1)において、エージェントは2つのタイプ(タイプ1とタイプ2)に初期の状態において分けられるとする。タイプ1のエージェントは社交的で((1)における出会いの頻度が高い)、かつ開放的で((2)において出会いをネットワークとして発展させる傾向が高い)、かつ保持性が強く((3)における保持の傾向が高い)、タイプ2のエージェントはタイプ1のエージェントとは逆の特性を有するものする。モデル(2)においては、エージェントのタイプは所与のものではなく、エージェントの(1)から(3)に関する時刻tにおける特性は時刻t-1における各エージェントのネットワークの次数に比例するとしたモデルである。両モデルはネットワークが生成と崩壊の過程を繰り返しながら、確率的にその構造を変遷させていくモデルであるが、ネットワークの構造指標であるクラスター係数と平均経路数を通して観る限りでは、両モデルにより生成されるネットワークに大きな差異が生じないということが分かってきた。 H17年度は、上記の両モデルにおけるエージェントに「階級」という概念を盛り込み、階級の違いによる相互作用の結果を非対称かつ動的なゲームで表現することにより、そのゲームをもとにエージェントが意思決定を行ったときに構築されるネットワークの形成過程とその構造を明らかにすることが出来るものと考えられる。
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