2004 Fiscal Year Annual Research Report
ステイクホルダー参加型の保健医療福祉共同体のガバナンスに関する研究-英国ケア・トラストを中心に-
Project/Area Number |
16653047
|
Research Institution | Kochi Women's University |
Principal Investigator |
長澤 紀美子 高知女子大学, 社会福祉学部, 講師 (50320875)
|
Keywords | ニューパブリックマネジメント / ガバナンス / ステイクホルダー / 参加 / パートナーシップ / ケア・トラスト / 行政評価 / NHS |
Research Abstract |
本研究は、英国のケア・トラスト等へのヒアリング調査および文献研究を通して、市民が利用者(顧客)・ステイクホルダー・住民(納税者)等の属性により、保健医療福祉サービスの計画(Plan)・運営(Do)・評価(See)に関わる際のアプローチの類型化を行い、新たな公私の協力関係のモデルに関わる課題を明かにすることを目的とする。 本研究は2年計画で実施する。初年度においては、文献研究により(1)英国のステイクホルダー参加型ガバナンスを採用している保健医療福祉分野の組織の活動の現状と課題の整理、(2)ステイクホルダー参加型ガバナンスに関わる概念整理と分析、(3)以上を通して、ステイクホルダー参加型ガバナンスに関する分析枠組みの予備的検討をおこなった。 【研究結果の概要】 (1)英国の保健医療福祉分野で、ステイクホルダー参加型ガバナンスを採用している組織としては、プライマリケア・トラスト(第一次医療の基礎的保健行政組織)、ケア・トラスト(保健医療福祉行政の統合的組織)、ファウンデーション・トラスト(独立型急性期NHS病院)がある。それぞれ、組織運営に関わる理事会や統治(ガバナンス)委員会等の構成員として、住民や利用者・患者代表を加え、市民の意思決定への参加、共同統治の理念を具体化している。施策の全国的な展開から歴史が浅いことから、資源・組織運営等の制約に関する問題点が指摘されている。 (2)先行研究により、英国のステイクホルダー参加型ガバナンスに関する歴史的経緯と概念の推移が明かになった。NHSでは、1990年代初期に消費者参加の議論が開始され、特に1997年以降、市民による公共参加の枠組みの重視へとシフトしている。 (3)先行研究により、ステイクホルダー参加型ガバナンスの実態を分析する際の構成要素〔参加の主体(アクター)、参加のレベル、情報共有の範囲、意思決定への関与の範囲等〕が明かになった。
|