2005 Fiscal Year Annual Research Report
ステイクホルダー参加型の保健医療福祉共同体のガバナンスに関する研究
Project/Area Number |
16653047
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Research Institution | Kochi Women's University |
Principal Investigator |
長澤 紀美子 高知女子大学, 社会福祉学部, 講師 (50320875)
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Keywords | ガバナンス / 連携 / 協働 / ケア・トラスト / パートナーシップ / インターミディエイト・ケア(中間的ケア) / 社会的ケア / NHS |
Research Abstract |
【研究結果の概要】 ・ステイクホルダー参加型のガバナンスをとる医療・福祉機関としては、プライマリケア・トラスト(初期医療)、ケア・トラスト(高齢者ケアや精神保健等特定領域での医療・福祉の組織統合)、ファンデーション・トラスト(独立運営型急性期NHS病院)がある。この中でステイクホルダーの関与レベルが最も高いのはファンデーション・トラストである。住民および患者やその家族は‘Local Ownership'という会員組織に参加し、選挙によって統治委員や非常勤理事に選出される資格をもつ。 ・ケア・トラストは、2000年のNHS PLANの中で政府が推進を公表したが、2006年3月現在、全イングランドで8組織しか設立されていない。その理由として、政治的理由(政府が統合を進めるための戦略を積極的に採らず、閣僚間でも中心議題とならなかった)とNHSの絶えまない再編によって福祉との連携が困難な状況にあった理由が挙げられている。現存のケア・トラストは、Health Action Zone等により、医療と福祉との間で連携に取り組んできた長い歴史をもつ地域が多い。 ・高齢者ケア領域の2つのケア・トラストにおける住民・利用者等のステイクホルダーの参加は、他の組織形態と比べてとりわけ顕著であるとはいえなかった。むしろ、ケア・トラストにおけるパートナーシップは、医療(NHS)と福祉(自治体社会サービス部)との間での連携・協働が中心である。インターミディエイト・ケアの一種であるRapid Intervention Team(早期介入チーム)等の多職種協働型の多様なケアサービスを発展させ、情報の共有化と予防や早期の危機対応に成功したことがケア・トラストの成果として挙げられている。
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