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2006 Fiscal Year Annual Research Report

社会関係を支える心の機能

Research Project

Project/Area Number 16653052
Research InstitutionKwansei Gakuin University

Principal Investigator

森 久美子  関西学院大学, 社会学部, 助教授 (00290156)

Keywords社会系心理学 / 実験系心理学 / 広汎性発達障害 / ゲーム / 心の理論 / 社会的交換 / 協力
Research Abstract

最後通牒ゲーム、独裁者ゲーム、信頼ゲームにおける分配・返報行動の発達的変化を、高機能広汎性発達障害(HFPDD)児と定型発達児とで比較検討した。特に今年度はHFPDD児のデータを追加収集し、定型発達児との量的比較分析を行うことを目的とした。すべての課題で共通する傾向として、定型発達児でもHFPDDでも発達に伴って利己的傾向は減少していた。しかし、利己的行動に代わって主となる行動傾向には両群で二つの相違がみられた。
第一は分配行動の発達に関する点である。定型発達児では、分配に相手の承諾が必要なときには平等に分配するが、不要な場合は利己的に分配する、という戦略的な平等分配を経て、承諾の必要性に関わらず平等に分配する価値・道徳的な平等分配へと移行する傾向があった。これに対してHFPDD児では戦略的平等分配を経ずに価値・道徳的平等分配が出現していた。
第二は返報行動に関する点である。定型発達児では、まったく返報を行わない利己的行動が加齢とともに減少すると、代わりに自分の利益を損なわない範囲で相手にも返報する互恵的行動が増えていた。これに対し、HFPDDでは利己的行動が減少すると、これに代わって自分の利益を大幅に犠牲にしてまで返報するという過剰に返報的な行動が増えていた。
その他の分析も含め、HFPDDにおいては複数の相互に葛藤する社会規範を柔軟に使い分けることが困難であることが示された。従来の社会的スキルトレーニングにおいては、向社会的行動の獲得に重点が置かれてきたが、本研究の結果は、向社会性と自己利益という異なる目標を実現するためのスキルトレーニングに目を向けていく必要性を示している。今後の課題としては、追跡調査のサンプル数を増やし、上記の発達過程を縦断的、個別的に検討することが挙げられる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2007 2006

All Journal Article (2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 心の理論と公平分配 : 最後通牒ゲームを用いた検討2006

    • Author(s)
      森久美子
    • Journal Title

      日本社会心理学会第47回大会発表論文集

      Pages: 164-165

  • [Journal Article] 広汎性発達障害児における返報性の発達-定型発達児との比較による検討-2006

    • Author(s)
      森久美子
    • Journal Title

      日本心理学会第70回大会発表論文集

      Pages: 1-285

  • [Book] 人間関係のゲーミング・シミュレーション-共生への道を模索する-2007

    • Author(s)
      藤原武弘 編著
    • Total Pages
      212
    • Publisher
      北大路書房

URL: 

Published: 2008-05-08   Modified: 2016-04-21  

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