2004 Fiscal Year Annual Research Report
偏光サングラスによる課題提示トリックを用いた成績中下位の中学生の自己効力感の向上
Project/Area Number |
16653054
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
守 一雄 信州大学, 教育学部, 教授 (30157854)
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Keywords | f MORIテクニック / 自己効力感 / 中学生 / 学業成績 / 偏光フィルタ |
Research Abstract |
長野県内の中学校(各学年6クラス)の協力を得て、各クラスの成績中下位者の中から4名をランダムに抽出し、実験群生徒(計24名)とした。これら24名以外の成績中下位者は統制群生徒となった。これら実験群生徒にだけ違う種類のサングラスを配布し、クラス全員にアナグラム課題30題を提示しで筆記回答させた。守が開発したfMORIテクニックを用いることによって、実験群・統制群とも生徒全員が同じアナグラム課題を解いているような状況下で実は実験群の生徒だけは易しいアナグラム課題が提示されていた。その結果、実験群生徒は統制群よりも有意に良い成績をおさめることとなった。課題実施後に答え合わせをし、それぞれ何題正しく解答できたかを報告させた。実験群生徒は好成績であったことをクラス内で賞賛された。アナグラム課題は学活の時間を活用して、「信州大学での新しい知能検査開発のためのデータ収集」という名目で実施した。サングラスをかけさせる口実としては、「透視型スクリーンを用いるので目を守るため」であるとした。実験デザインは基本的にプリテスト-ポストテスト実験であった。アナグラム課題実施の前後および事後数回にわたって自己効力感の測定を行い、「成功体験」の自己効力感への影響を統制条件との比較により検証した。アナグラム課題実施1ヶ月後に実験内容についての説明を行った。研究の結果、実験群生徒の自己効力感が有意に高まり、それが4ヶ月にわたって持続されたこと、さらには、自己効力感の上昇に伴って学業成績を向上させた者の数が有意水準に達したことがわかった。研究成果の一部は、日本認知科学会第21回大会において発表されたほか、大学内外の研究会などでも発表された。また、2005年のアメリカ心理学会(American Psychological Society)の年次総会でも発表を予定している。
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