2004 Fiscal Year Annual Research Report
創造的発見を生み出す「失敗体験様式」の機能的解明と啓発
Project/Area Number |
16653056
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
丸野 俊一 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (30101009)
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Keywords | つまずき体験 / 認識の起源 / 自己の考えへの"こだわり" / 再帰的な省察 / 思考の対象化 / 心理的距離 |
Research Abstract |
16年度は、次の二つの理論的・調査的研究を行った。 1)「つまずき体験」の受け止め方の解析:新しい道具を創作したり新しい考えや理論を創出したり、世界的な記録を打ち立てていく創造的発見や問題克服の過程には、程度の違いはあれ、何らかのつまずき体験がある。偉大な業績や記録を生み出している人々に共通している「つまずき体験」の受け止め方の特徴として、「つまずき」が生じた状況や問題場面を、(1)新たな展開や発展や進歩が期待できる可能性が潜在していると捉えがちである、(2)既成の認知的な枠組みや思考方法や努力の仕方を見直し、新たな視点からの取り組み方を示唆しているといったように、新たな認識の起源として前進的に受け止める。 2)「つまずき体験」の克服過程:偉大な業績や記録を生み出している人々に共通する克服過程として、(1)あらゆる角度から問題や状況についての分析(状況との対話)、自己の取り組みについての批判的分析(自己内対話)を再帰的に加える、(2)直ぐに考えら取り組みの姿勢を変更するのではなく、納得できるまで自分のこれまでの考え方や取り組み方の姿勢に「こだわってみる」、(3)自分の思考を対象化し、現実世界との間の関係を多面的視点から吟味検討し、持続的な省察的思考を繰り返す。その時の対象化方略としては、問題状況や解決過程や自己の考え方の論理構成や既成の理論などを静観できるように、一時的にその場を離れて再度、批判的思考を加えると言う「時間」を置く方略、他者に説明することによって問題点を新たな角度から考える説明方略を少なくとも臨機応変に使い分けている。いずれもの方略も、新たな認識生成のための「心理的距離」の取り方である。
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