2004 Fiscal Year Annual Research Report
共同注意の発達と障害に関する縦断的研究と乳幼児健診システムの再構築
Project/Area Number |
16653057
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大神 英裕 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (20020141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 博之 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (00037037)
南 博文 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (20192362)
中村 知靖 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (30251614)
橋彌 和秀 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (20324593)
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Keywords | 乳幼児 / 共同注意 / 発達障害 / 早期発見 / 早期対応 / 縦断研究 / 妥当性検証 |
Research Abstract |
共同注意の発達過程の解明は、乳幼児期における社会的認知の定型発達過程と自閉症のような広汎性発達障害の早期予兆を理解するために重要な貢献をすると考えられる。本研究では、2000-2001年に福岡県糸島地区で出生した約2000人の乳幼児を対象に8ヶ月から2ヶ月ごとに1歳半まで、さらに3歳、5歳までの長期縦断調査を実施している。 調査項目は指さしの理解・産出、社会的参照視、提示・手渡し、模倣・ふり遊び、他者の苦痛への反応など共同注意関連の項目、初期言語に関する項目、粗大運動の発達に関する項目から構成されている。 これらの調査項目を用いた発達評価法はすでに標準化したが、それを適用して生後18ヶ月時点での調査対象児の9.6%(120人)が境界域(-1SD〜-2SD)、5.2%(65人)が臨床域(-2SD以下)にいることが判明した。 その後、これらの発達障害ハイリスク乳幼児が3歳児健診もしくは精密診断で自閉症と診断された乳幼児は9名であった。自閉症と診断された9名の18ヶ月における発達特性を後方視してみると、共通した特徴は下記の通りであった。すなわち、(1)共同注意得点が-1SDいかであること、(2)叙述の指さしの欠如、他者の苦痛への反応の欠如、(3)伝え歩き若しくは歩行が可能、(4)有意味後の欠如、呼称(絵本)の欠如、が共通項であった。この共通項は生後18ヶ月における自閉症の初期予兆であることを示唆している。 この9名以外に3名のアスペルガーと診断されたケースの共通項については現在、検討中である。また、こうした発達障害児に対しては早期発見後の対応として第一次療育(生活モデル型)と第二次療育(個別療育型)で発達支援の活動を展開している。
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Research Products
(6 results)