2005 Fiscal Year Annual Research Report
通信制高等学校の生徒への社会参加促進プログラムの開発
Project/Area Number |
16653059
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
中谷 隆 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (40155875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加茂 陽 県立広島大学, 教授 (30099676)
細羽 竜也 県立広島大学, 講師 (40336912)
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Keywords | 不登校生徒 / ソーシャルスキル / 対人関係 / 自己認識 / 心理教育プログラム |
Research Abstract |
本研究(計画)の最終目標は,通信制高等学校に通学する不登校生徒の社会適応と社会参加を育成するための心理教育プログラムを開発・実践し,その効果を査定することにある。本年度はその2年目にあたる。前年度に実施した生徒に対するニーズ調査とベースライン測定質問紙(対人関係と自己認識)に対する回答を分析した結果を踏まえて,自己認識,他者の視点取得(共感性)と対人関係スキルの向上を目指して,授業教材(8回分)を作成し,それに基づいて現場教員による授業を月1回のペースで年間を通じて実施した。授業効果の査定は4回分終了ごとに全部で2度,前年度のベースライン測定に用いた質問項目をそのまま用いて行った。変化過程をモニターするために比較対象群として,当該の通信制課程の生徒だけでなく授業に参加していない全日制課程の生徒にも同様に答えてもらった。 質問紙による効果査定の結果によれば,教材だけを自学自習した通信制課程の生徒に比べて,授業そのものにも参加し協同学習を行った通信制課程の生徒に以下の変化が顕著に見られた。すなわち,円滑な対人関係の基盤となる,共感性,他者の視点の取得,会話の開始と維持といった対人関係スキルに関わる諸特性が受講前に比べて,いずれも大きくプラスの方向に好転していた。また,問題に対する対処方略についても,回避・逃避的な傾向が減じて,問題焦点型の態度が増す傾向にあった。この変化は全日制課程の生徒たちの変化と比較しても同様に認めることができた。 以上,受講生の自己評価という形ではあるが,対人関係スキルに関していえば,授業内容に即した効果を確認することができた。他方,自己効力感とか自尊感情といった特性に関しては授業による効果を認めることができなかった。 そこで現在,次回の授業セッションに向けて,授業内容をより現実生活に近いもの,いわゆる職業選択やキャリア教育に通じるものにして,受講生の自己効力感や自尊感情を高めるための,さらには将来に向けての意思決定を支援するための授業方法を策定中である。
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