2004 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの心理臨床的問題の発生と布置形成に関する縦断的研究
Project/Area Number |
16653061
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
肥後 功一 島根大学, 教育学部, 教授 (00183575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩宮 恵子 島根大学, 教育学部, 助教授 (50335543)
三宅 理子 島根大学, 教育学部, 講師 (20319833)
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Keywords | 心理臨床的問題 / 縦断的跡づけ / 布置形成 / 傷つきやすさ(vulnerability) / 気になる様子 / 不登校 / 軽度発達障害(LD、ADHD等) |
Research Abstract |
1.4箇所の地域を中心に、設定した研究条件を満たすことができる協力施設の選定を行った。とりわけ同一コホートを形成する小集団の縦断追跡をするための条件整備に力を入れ、ある程度の集団を継続追跡できる形を整えることができた。本研究の性質上、多大な個人情報に長期にわたって関わる可能性があり、さらに協力施設との協議をつめなければならない点も明らかになった。 2.協力施設うち1箇所(地域)については「子どもの気になる様子」チェックリスト試作版を用いた資料収集を継続的に実施した。45項目の試作版を実施したが、その結果、項目の妥当性や信頼性、その他、今後研究を進めていく上で概念上の再検討を行わなければならない点などが明らかになった。改訂版の試作に着手している。 3.上述2を踏まえ、研究計画に追加して、地域を限定した全数調査を年末にかけて実施した。小学校1年生から中学校3年生まで約2500人を対象とし、「子どもの感情とそのコントロール」についての質問紙調査を行い、本研究で中心的なテーマとしている心理臨床的問題の発生や布置に関する解析を進めている。その中から、傷つきやすさ(vulnerability)の概念を検討する必要が示唆された。 4.以上、縦断型の研究の条件整備を進めながら、同時に横断型の多量データを収集し、心理臨床的な諸問題の発生する現場をいかにとらえるかについて、具体的な試みが展開されたことが本年度の成果であった。とりわけ、乳幼児期からの「傷つきやすさ」と(広義の)攻撃性との関連が新たな視点として加えられ、思春期において「結果してくる」心理臨床的問題の早期からの布置形成について、手がかりが得られたことが重要であり、この点を本研究の中心に置きながら、次年度以降、描画や臨床的記述等の質的データの蓄積および解析を加えて、さらに研究を進めていきたい。
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