2005 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの心理臨床的問題の発生と布置形成に関する縦断的研究
Project/Area Number |
16653061
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
肥後 功一 島根大学, 教育学部, 教授 (00183575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩宮 恵子 島根大学, 教育学部, 教授 (50335543)
三宅 理子 島根大学, 教育学部, 講師 (20319833)
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Keywords | 布置形成 / 心理臨床的問題 / 縦断的跡づけ / 傷つきやすさ / へき地小集団教育 |
Research Abstract |
1.本年度は昨年度の基本的調査に基づき、次の2点を研究の力点とした。 (1)設定した地域(幼少時より思春期までの集団の構成メンバーがほぼ固定化している地域)の集団成員の特徴を遡及的に把握する。 (2)心理臨床的問題の形成を多角的に検討するため有効な縦断データについて検討する。 2.(1)について、1つの小学校(保育所→小学校→中学校と集団構成がほぼ同じ)を基点とし、1人の子どもを1年毎に遡及的に評価する方法で、保育所からの変化を追うことができた。現在、そのデータの分析に着手している。 3.(2)について、1つの保育所(大半の子どもが同一の小学校に就学する)を対象として、行動についての遡及的評価に加え、描画データを収集した。描画を縦断的に追うことから見えてくるものと、行動評価の項目との関連性について分析を進める予定である。 4.本研究は子どもの心理臨床的問題の発生について、関わり手の見方、関わり方の問題を重要な要因ととらえており、その意味で「布置形成」という語を用いている。そのためこうした特異な集団構成上の条件をもった地域の関わり手が、地域の子どもの特異性をどうとらえているかについて、自由記述方式の資料収集を行った。 ここから項目作成し、いわゆるへき地環境での、子どもの心理臨床的問題について、来年度の初めに少し規模の大きな調査を実施する予定にしている。 5.昨年度からの研究の中で得られた「傷つきやすさ(vulnerability)の概念を、具体的な心理臨床的問題性の指標としてとらえるため、質問紙による行動評定を行ってきた。今年度はこれに加え、「声」が臨床的指標として有効ではないかとの着想を得たため、新たな実証的臨床データとしての「声」の使用可能性の検討に着手した。
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