2005 Fiscal Year Annual Research Report
学生相談と連携した軽度発達障害学生への心理臨床的支援体制の構築
Project/Area Number |
16653064
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
松原 達哉 立正大学, 心理学部, 教授 (90015438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 晴男 , 教授 (90235549)
中田 洋二郎 , 教授 (20106214)
高橋 知音 信州大学, 教育学部, 助教授 (20291388)
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Keywords | 大学生 / ADHD / HFPDD / 不適応 / 学業生活困難 / プロソディ認知 / コーチング / カウンセリング |
Research Abstract |
本年度は、松原(2000)が開発した職能者を対象としたメンタルヘルスシートの大学生版にあたるメンタルヘルス尺度の開発作業を通して、従来の受動的健康状態に着目したものと異なり能動的・全人的な視点から学生生活適応状態全体を評価する試みを進めた。不登校をはじめ学業生活面で困難さが顕在化した学生の支援においては、不規則な学生生活そのものの改善を促す生活分析的カウンセリングが、不適応感の改善を促す一般的カウンセリングに比べ、特に初期段階の援助において有効なことが明らかとなった。また、学業生活困難のある学生集団の一員でもある軽度発達障害学生においても、生活支援の視点が不可欠なことが確認された。 ADHDあるいはHFPDDのある、または併存性のある学生を対象とした支援に関しては、ADHDコーチングとして開発されてきた基礎的技法に関する情報を整理し、実際の実習体験に参加するなど、実践面からの適応可能性に関する検討を進め、具体的な援助プロセスを明確化してきた。 評価にかかわるチェックリスト研究では、青年期の課題となる問題行動を障害特性から検討する手だてのひとつとして、プロソディ認知課題(仲島、2004)をとりあげ自閉症スペクトラム指数(AQ)尺度得点との関連性についての妥当性検証も進めた。標本数は少なかったが、概ね先行研究における得点分布と同様な傾向が得られた。学生生活では、相互のコミュニケーション面で、相手の感情が喜び、安心、感謝等の肯定的な意味を持つのか、苛立ち、嫌悪、軽蔑等の否定的な意味を持つものかをおおまかに区別できる能力の獲得がのぞまれる。実際の評価に本課題を適用するには、課題難易度の影響も無視できないことをはじめ、肯定的要素と否定的要素にかかわる課題項目の絞り込みも必要と考えられた。
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