2006 Fiscal Year Annual Research Report
学生相談と連携した軽度発達障害学生への心理臨床的支援体制の構築
Project/Area Number |
16653064
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
篠田 晴男 立正大学, 心理学部, 教授 (90235549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 達哉 岐阜女子大学, 文化科学部, 教授 (90015438)
中田 洋二郎 立正大学, 心理学部, 教授 (20106214)
高橋 知音 信州大学, 教育学部, 助教授 (20291388)
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Keywords | 大学生 / 軽度発達障害 / ADHD / 援助サービス / 学業生活困難 / 自立 / コーチング / 戦略的学習 |
Research Abstract |
米国における代表的機関事例の比較検討を通して、国内の大学における支援体制の手がかりをまとめた。地域の拠点として充実した評価・診断サービスを提供してきたジョージア大学、また、学生自身が援助サービスに対してコストを負担する自己投資型のサービスを提供するアリゾナ大学、そしてコネチカット大学等の機関事例を中心に、軽度発達障害のある学生支援システムの成熟経過、現在の課題を検証した。米国では法的背景に立脚した支援サービスが前提で進展し、法的な援助対象の確定には、多元的診断、専門的なアセスメントが適用されてきた。神経心理的エビデンスの集積と併せて、学生生活で直面する困難さについての質的検討も複数の専門家により慎重に行われている。認定されると、限定的な医療的サービスと包括的な心理教育的援助サービスが適用される。学生は複数の援助サービスの中から必要に応じてサービスを選択する。途中でサービスから自立する例もあるが、継続的なエンパワメントが欠かせないことから、スタッフには、戦略的学習やコーチング等の専門家に加え、卒業生をはじめとしたメンターも参加している。また、学生も自分にあった支援と理解を得ることで社会的にも自立できるよう、仲間とともに学生生活に取り組んでいた。さらに、国内での評価用に開発を進めてきた大学生用自記式ADHD傾向質問紙については、大学生823名を対象に1〜3因子を想定したモデルを作成し、どのモデルが最もデータとの適合がよいかについて、検証的因子分析を行った。その結果、ICD型3因子モデルが最もデータとの適合がよいことが示された。男女とも因子間相関は高いものの、3因子構造として扱う方が適切であることが示されたことから、大学生を対象とした質問紙を作成する場合、不注意、多動性、衝動性を測定する3つの下位尺度を作成する必要がある。
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