2006 Fiscal Year Annual Research Report
幼稚園年長から小学校1年への学びを繋ぐ計算学習法の開発
Project/Area Number |
16653087
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
天岩 静子 信州大学, 教育学部, 教授 (60060688)
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Keywords | 計算 / 学習法 / 幼稚園と小学校の接続 / 自発的な学習 / 教えあい行動 |
Research Abstract |
2年間にわたり継続的に行動観察を行ってきた対象児が、本年度は小学校2年生になったので、幼稚園児と2年生が共同で行った各種の活動について、観察とビデオ撮影を行った。これまでの2年間に行われた園児と小学生の連携・協力活動の記録とあわせて詳細な分析を行い、遊びを媒介として「楽しみながら自発的に計算を学ぶ」学習法の効果について考察を行った。 本年度の園児と2年生の活動は、昨年度に両者が協力した活動実績の上に成り立っているので、兄弟のような親しい関係のもとで学びがなされた。「ケーキやさん」活動を繰り返すうちに、園児は、どのように作ったら本物そっくりに見えるかを工夫し、あらかじめ何人位にケーキを売るかを想定してケーキを作っておくこと、ケーキを入れる箱や紙袋の枚数を確認すること、レジ係はお金や釣銭を準備すること、ケーキの金額を示すラベルをケーキに貼ること、などの必要性に気づくようになった。園児が主体となって分業で活動を行い、2年生はケーキの出来ばえを褒め、園児が困っていることについて相談にのり(メニューに金額を書く、複数のケーキの合計金額を出す)、客になってケーキを購入する等、園児の活動を支えつつ双方で楽しむ活動が展開された。「芋掘り」では、大きな芋を掘り終えた翌日に園児達が畑に残った小芋を探し始め、その数が100を越えるようになると、2年生が10のまとまりにしておくと正確に数えられることを教えて一緒に確認し、各クラスへの分配も手助けをした。このような相互協力関係は、なじみのない学年の小学生との間では見られなかった。 遊びを媒介として、園児は楽しみながら自発的に対応関係、集合、計算方法等の理解をすすめていること、園児と小学生の親しい信頼関係に基づいて教えあい行動や協力がみられ、双方にとって効果的な学びとなっていることが明らかになった。
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