2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16654007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹田 雄一郎 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (30264584)
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Keywords | 代数的K理論 / レギュレーター写像 / L関数 |
Research Abstract |
代数体上で定義された多様体のL関数は、数論的幾何学では重要な研究対象である。Beilin-sonの予想とは、そのL関数の特殊値が、多様体の代数的K理論からDeligneコホモロジーへのレギュレーターとよばれる写像をつかって記述できる、という予想である。この予想は、成り立つことが確かめられている多様体の例がいくつかあるものの、一般的には未だ証明されていない難しい予想である。 一般に代数的K理論の元を構成することは困難であるが、最近、キューブとよばれる幾何的な対象をもちいて、代数的K理論の元を記述する方法が開発された。また、キューブに対するBott-Chern形式とよばれる微分形式が、レギュレーター写像を記述することも証明された。 本研究の目的は、キューブとそのBott-Chern形式を用いて、代数多様体の代数的K理論の元を構成する一般的な方法を確立し、それを用いて楕円曲線やアーベル多様体のBeilinson予想を証明することである。 本年度は、楕円曲線の場合を考察した。まず楕円曲線のBeilinsonの予想に関するDeningerの論文を精読して、楕円曲線の代数的K理論のEisenstein symbolとよばれる元の構成について知見を得た。また、楕円ポリログと楕円Bloch群に関するWildeshausの論文を精読した。そして、単独の楕円曲線を考えるのではなく、楕円曲線の族を考え、その族のパラメータに関する微分方程式を考えることによって、Eisenstein symbolの新しい構成の方法が得られる、という予想をたてた。 来年度は、この予想の解決を目指して研究をすすめる予定である。
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