2004 Fiscal Year Annual Research Report
リッチ流による4次元多様体のリプシッツ幾何学の創始
Project/Area Number |
16654009
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山口 孝男 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (00182444)
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Keywords | リッチ流 / 4次元多様体 / リプシッツ幾何学 |
Research Abstract |
3次元多様体のポアンカレ予想を含むサーストン幾何化予想に対するHamilton-Perelmanによるリッチ流の仕事の細部を詰めることに重点をおいた。その為と、国内では出遅れていた感のあるHamilton-Perelmanによるリッチ流に関する研究を促進する為に、平成17年1月に福岡で国際研究集会"リーマン幾何と幾何解析"を開催した。この研究集会の主な費用は深谷賢治氏(京都大)の科研費(S)に負うたが、補足的に本萌芽研究から会場費を支出した。この研究集会のかなりの部分が、Perelmanの仕事に関するもので、研究代表者がPerelmanの仕事を理解するのに大変役立った。特に、Kleiner氏(Michigan)の協力により、手術つきリッチ流における問題点が明瞭になったことは今後の研究の方針を立てる上で大変役立った。またColding氏(New York)の講演および氏との討論により、3次元多様体にアスフェリカルな連結和成分を持たないときのリッチ流の有限時間内での消滅定理(Perelman, Colding-Minicozzi)の極小曲面を用いるアイデアを明瞭に理解することが出来た。これも今後の研究に有益となるであろう。 また4次元多様体上のリッチ流の特異点構造について戸田正人氏(お茶の水女子大)との議論などを経て、κ-solutionの分類に関する本質的な問題点がS^2×Rを初めとするソウルが2次元球面の場合の処理であることが明瞭になったことは今年度の研究の成果の一つである。これは,S^2上の階数2のベクトル束が非負曲率計量をもつ為の必要十分条件を求める幾何的な問題を含むものである。結局そのような空間上のリッチ流の分類が本質的な問題であることが判明した.特異点のまわりのブロー・アップ極限の曲率に関しては来年度以降の重大な課題である。
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Research Products
(2 results)