2005 Fiscal Year Annual Research Report
リッチ流による4次元多様体のリプシッツ幾何学の創始
Project/Area Number |
16654009
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山口 孝男 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (00182444)
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Keywords | リッチ流 / 4次元多様体 / リプシッツ幾何学 |
Research Abstract |
1.閉面曲上のリッチ流は最終的には定曲率計量に共形構造を保って収束することが知られている。本研究においては閉面曲がトーラスでなく、初期計量の曲率の符号がプラス・マイナス両方取る場合に、その符号がプラスかマイナスいずれかに一方になる時間評価を初期計量に関する情報で評価することを考察した。その結果、初期計量の曲率ポテンシャルを初めとする幾何不変量を用いて評価することが可能になる、ことが判明した。曲率ポテンシャルではなく、曲率そのものを用いた評価が可能であるかどうかは不明で今後の課題である。また、閉曲面上のリッチ流とともに、種種の幾何不変量がどの様に変化するか、例えば単調性は成立するかなど、将来の課題として多くの問題が考察の対象となり得ることがこの研究の知見として得られた。なお、12月に東京大学において曲面上のリッチ流に関する連続講義を行ない、有益な議論・討論が出来た。 2.2月に筑波大学で開催した研究集会「リーマン幾何と幾何解析」において、国内の研究者と意見交流ができて本研究遂行の為に有益であった。特に、戸田正人氏(お茶の水女子大)との議論などを経て、4次元微分可能球面定理を将来の重要課題と見据えた場合に、4次元多様体のリッチ流の解析に関する具体的問題として、κ-解の分類が重要であることを再確認できた。これはS^2上の階数2のベクトル束で非負曲率計量をもつときその上にcanonicalなRicci soliton解をいつ構成できるのかといった興味深い問題を含む問題であり、今後の重要な研究課題となった、初期計量が正の曲率作要素を持つ場合は、リッチ流は定曲率計量に収束することが最近Wirking氏によって証明されたようである。上記に関連して、この結果を非負の曲率作要素を持つ場合に拡張することも今後の重要な課題である。
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