2005 Fiscal Year Annual Research Report
Max-Plus代数を用いた期待効用最大化問題の最適戦略の数値解析
Project/Area Number |
16654022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長井 英生 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (70110848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永幡 幸生 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (50397725)
関根 順 京都大学, 経済研究所, 助教授 (50314399)
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Keywords | 期待効用最大化問題 / リスク鋭感型準変分不等式 / ファクターモデル / Wonhamフィルター / 格子気体モデル / Einstein Relation |
Research Abstract |
無限時間範囲べき型期待効用最大化問題を、取引費用を考慮に入れて考察した。取引費用としては、総資産に対する一定比率の部分と取引量に比例した部分の双方を含む場合を包含する一般的な取引費用の下で考察し、対応する、"エルゴード型"リスク鋭感的準変分不等式を導いた。その解の存在を一定比率コストの場合に対応する変分不等式との比較から、逐次的に構成する方法を開発することによって示した。"エルゴード型"リスク鋭感的準変分不等式の解は、ある関数と定数の組からなるが、その関数を用いて最適三略の構成を行い、また、その定数が最適値を与えることを示した。 また、一定比率コストで対数効用最大化問題の場合には"エルゴード型"変分不等式の解の存在と一意性を示すことで得られていたが、その解から決まる自由境界の数値解析の研究をマルコフ連鎖の確率制御問題により近似することにより行った。 ファクター過程が有限状態マルコフ連鎖であるファクターモデルに対して無限時間範囲期待効用最大化問題を考察し、そのマルコフ連鎖がエルゴード的である場合には、Wonhamフィルターの収束する不偏測度を用いて最適値が表現されることを示した。 格子気体モデルの性質、特に流体力学極限で得られる拡散係数について研究を行ない、昨年までに得られた「拡散係数の滑らかさ(Lipshitz連続性)」の結果およびその証明から得られた系と、非対称な格子気体の不変測度に関する結果を用いることにより統計物理学において成立することが予想されている「Einstein Relation」が、ある条件の下では成立することが証明でき、またこの条件を満たさない場合には反例を得ることができた。
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Research Products
(2 results)