2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16654023
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川崎 英文 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (90161306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 敏和 阿南工業高等専門学校, 助教授 (90186081)
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Keywords | 折り紙の数理 / 折り紙の工学 / 球面折り紙 / 折紙設計 / 変形折り鶴理論 / 折り紙境界値問題 / 平坦折り / 局所平坦条件 |
Research Abstract |
1.初年度に引き続き、折り紙の数理と工学に関する研究の全体像を把握するために、関連書籍、雑誌を収集分析した。特に、Lang氏が考案した木構造と扇形を用いた折り図作成法の解析をおこなった。さらに、円筒状折り紙の座屈の研究をおこなっている広島大学工学部の有尾氏を訪問し、研究テーマに関する情報を収集するとともに討論をおこなった。 2.平面上の変形折り鶴理論の球面上への拡張を試みた。平面上の四辺形の場合、変形鶴が折れるための必要十分条件は四辺形が内接円をもつことであった。実際に変形鶴を折る際、鶴の中心となる鶴心は2本の双曲線の交点として定まる。一方、球面においても類似した考察が可能であるが、平面の広がりが無限であるのに対して、球面が有界であることにより、双曲線の代わりに楕円が重要な役割を演じる。現在、この結果を論文としてまとめている。 3.折紙設計とは目的の形状を折るために基本となる折り線を作図するための技術であり、これまでは工学的視点から研究がなされてきた。本研究では、これを数学理論として構築することを目指している。理論の中心に境界値問題を据え、折り線が4本以下の場合について解析を完了した。即ち、与えられた閉曲線に枕木状に交差する4本以下の折り線が局所平坦条件を満たすとき、それらを矛盾無く内部に延長してつなぐことができることを証明した。 4.第3回折り紙の科学国際会議論文集の翻訳をおこない、「折り紙の数理と科学」(森北出版)と題して出版した。これにより、最先端の折り紙研究の全体像を把握できた。 5.研究分担者の著書「バラと折り紙と数学と」の英訳を"Roses, Origami and Mathematics"と題して出版した。 6.東洋大学で開催された日本折紙学会第11回コンベンションにおいて、「折り紙の数理に関するいくつかの話題」と題して研究発表をおこなった。
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