2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16654024
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 正人 九州大学, 大学院数理学研究所, 助教授 (70263358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 卓克 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (20224107)
中木 達幸 広島大学, 総合科学部, 教授 (50172284)
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Keywords | 固有値問題 / 境界遷移層 / BMOアルゴリズム / シグマ模型 / 渦点 / 数値計算 |
Research Abstract |
今年度得られた主たる結果は以下のものである. 1.速い移流項を持つ拡散方程式のディリクレ境界値問題において大域的時間減衰率を表す楕円型方程式の第一固有値を考察した.これは,パラメータを含む移流項を持つ楕円型方程式の第一固有値の特異摂動問題として定式化される.移流の代表速度を表すパラメータが無限大に近づくとき,第一固有値が指数減衰する現象がおきることがある.この固有値の指数減衰現象について空間1次元の場合に精密な漸近挙動評価を得ることができた.数値シミュレーションの援用により変分構造の精密な評価を行うことが可能となった.(木村) 2.平均曲率流方程式を等高面の方法で考え,そのBence-Merrimen-Osher型の数値解析アルゴリズムの解への収束を,半線形熱方程式の解に対する特異摂動の観点から考え,粘性解の方法により証明した.(小川) 3.鉄磁性体の2次元ising型spinモデル(シグマ模型)に対する連続体近似を考え,その半線形化方程式のエネルギー空間における可能性を,新しいゲージ変換を考えることにより与えた.(小川) 4.渦挙動の数値解析に関して,次の研究を行った.複数の渦点の相互作用の問題について,渦同士が接近すると数値計算が困難になる.特に渦点群が激しい振動を起こす場合,この困難性が顕著に現れる.そのため,時間刻み幅を小さくしても数値解の発散が観察され,計算が破綻する.これに対し,天体力学問題で使用されている手法を念頭に入れ,それを改良した方法を適用することにより,この数値的な困難性を克服することに成功した.主たる改良のポイントは数値解の補正量として渦ごとに異なることを許し,許したために生じた自由度をある残差の最小問題で決定することにある.(中木)
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