2004 Fiscal Year Annual Research Report
リーマンヒルベルト問題とホモロジー方程式系からみる複素漸近解析
Project/Area Number |
16654028
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉野 正史 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00145658)
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Keywords | 特異ベクトル場 / 複素漸近解析 / リーマンヒルベルト問題 / ホモロジー方程式 / WKB解 / 多変数フックス型方程式 / 対数特異性 / ボレル総和法 |
Research Abstract |
本年度では、特異ベクトル場の標準形と複素漸近解析の関係を特に、リーマンヒルベルト問題との関連で研究した。得られた成果は以下のとおりである。1.特異ベクトル場を標準形に変換する古典的なポアンカレ級数が、実は標準形への変換と同値なホモロジー方程式のWKB解とただ一通りに好応することがわかった。この対応はいわゆるボレル総和法で与えられる。したがって、複素漸近解析がこの問題の本質を与えることがわかる。2.上の研究と関連した成果として、多変数フックス型方程式の実領域での古典解の存在が示された。これは有名なHartmanの定理の別証明を与えたことになり、のみならずもっと一般の偏微分方程式の解に対して成り立つ性質であることがわかる。この結果はMath.Nachrに出版予定である。3.この研究の途中で特異ベクトル場あるいは写像の標準形に関するMoserの問題、これは簡単に言えば超越ベクトルの同時近似の問題とそれらのベクトルの成分から作られる超越数の近似の問題との関連を問う問題であるが、を解いた。ここでは上の研究で得られた知見が、用いられている。この結果は、Tsukuba J.Math..に出版された。4.2とも関連するが、共鳴があるような特異ベクトル場の線形化がどのような状況下で可能であるかを研究した。この問題は通常は形式変換の枠組みで研究されているが、われわれは多変数対数特異性を持つ変換で考察した。このような特異性を持つ変換で、特異ベクトル場を標準形に変換することとはたとえば、実領域では上のHartmanの定理に対応する変換を与えるという点で、複素漸近解析の視点を変換論に導入することになる。結果として、リーマンヒルベルト問題がこのような対数特異性を持つ変換の構成に深くかかわっていることが示された。
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Research Products
(5 results)