2005 Fiscal Year Annual Research Report
タイヒミュラー空間上のブラウン運動と曲線のモジュライ空間の確率解析
Project/Area Number |
16654029
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
盛田 健彦 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (00192782)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 耕一郎 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (20241292)
川下 美潮 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (80214633)
須川 敏幸 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (30235858)
|
Keywords | タイヒミュラー空間 / ブラウン運動 / 確率解析 |
Research Abstract |
本研究全体を通して,種数2以上のタイヒミュラー計量(T-計量)によるブラウン運動(T-BM)とヴェイユ・ピーターソン計量(WP-計量)によるブラウン運動(WP-BM)のポテンシャル論的な比較を行うことが重要な目標となっている.種数1の場合には,タイヒミュラー空間は複素上半平面とみなされ,写像類群の作用はモジュラー群の作用であって,連分数変換の2回合成というただ一つ力学系の作用と軌道同値となっており,モジュラー曲面上のブラウン運動に関するポテンシャル論的性質と,測地流のエルゴード理論的性質には関連性があることも知られている.初年度(平成16年度)は,T-BMおよびWP-BMのポテンシャル論的比較を行う前段階として,ブラウン運動に対応する測地流および写像類群のエルゴード理論的挙動を把握する目的で,サーストン境界とタイヒミュラー境界上の写像類群の作用を可測な作用の立場で考察し,種数1の場合の連分数変換にあたるRauzy inductionを利用して,タイヒミュラー測地流のエルゴード理論的性質の解明から本研究に入って行くアイデアを得た.今年度(平成17年度)は,Rauzy inductionを繰り込んで得られる力学系に対して,そのエルゴード理論的挙動を調べた.結果としては,あるクラスの繰り込まれたRauzy inductionは自然な不変測度に関してBernoulli的であり,滑らかな観測量に関しては相関係数が指数的に減衰するのみならず,常に漸近分散が正となり,非退化な中心極限定理が成立することを検証した.
|
Research Products
(3 results)