2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16654033
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河東 泰之 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (90214684)
|
Keywords | 場の量子論 / 作用素環 / 頂点作用素代数 / エントロピー / ブラックホール |
Research Abstract |
場の量子論を作用素環論を用いて数学的に研究する,代数的場の量子論を計算している.そこでは,カイラルな共形場理論は,円周上の,作用素環の局所共形ネットとして研究されるが,その局所共形ネットのエントロピーと呼ぶべき量について研究した. それらの内在的な,エントロピー的な量は「熱核半群」にあたる半群のトレースの対数をとったものの時間パラメータによる展開係数として定義される.この量は,コンパクトリーマン多様体のラプラシアンの固有値の分布を調べときに現れる展開係数の類似であるので,「無限自由度の非可換多様体」に当たる対象のの幾何学的不変量と解釈できる. 局所共形ネットの表現のなすテンソル圏とキャラクターに対する自然なモジュラー性の仮定の下で,「非可換面積」に当たる主要項が中心電荷に比例すること,非可換オイラー数に当たる次項がネットの大域指数の対数に比例することがわかった.さらにその次の項は再び中心電荷に比例することもわかった.このモジュラー性の仮定が成立する例はたくさん知られている. ブラックホールの場合は,事象の地平線上に局所共形ネットが現れると期待される.これを経由して,Bekenstein-Hawkingによる,ブラックホールのエントロピーを面積として解釈する考え方と,我々の結果に現れる,エントロピーを「非可換面積」と解釈する考え方との関係についても研究した.
|
Research Products
(4 results)