2005 Fiscal Year Annual Research Report
山口32m電波望遠鏡とBSアンテナをインターネット結合したVLBI観測
Project/Area Number |
16654034
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
増山 博行 山口大学, 理学部, 教授 (20091209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤沢 健太 山口大学, 理学部, 助教授 (70311181)
鏑木 修 山口大学, 理学部, 教授 (20089783)
土居 明広 山口大学, 理学部, 非常勤研究員 (90403641)
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Keywords | 天文学 / 地上観測機器 / 電波望遠鏡 / VLBI / メタノール・メーザ天体 / 活動銀河核 / BSアンテナ / 位相安定度 |
Research Abstract |
山口32m電波望遠鏡は17年度、活動銀河核等に対し、20回を超えるVLBI観測を国立天文台等の間で実施し、観測システムを十分に安定させることに成功した。また、BSアンテナとの観測目標にしている天体の一つ、メタノール・メーザのVLBI観測にも初めて取り組み、成功した。従って山口32mのシステムでVLBI観測する準備は完了した。 他方BSアンテナ系は山口32mとのVLBI観測の準備として、BSアンテナ2号機を稼働させ、1号機との間で観測電波の相関検出を試みた。まず、口径1.2mの市販BSアンテナの特性検査として北天及び南天の電波強度を長時間測定した結果、外気に晒されている受信機の感度が気温と負の相関をもち温度が上昇する日中は電波強度が強まり、気温が低下する夜間は高まること、この温度係数で信号強度を補正すると太陽電波強度は数日間にわたって安定的に測定できること、が分かった。 次に、BSアンテナ付属の受信機では周波数変換時に位相が安定に保たれないので、手巻きのヘリカルコイルを自作し4GHz用の受信部とした。このアンテナのシステム雑音は246Kであった。続いて、電波干渉実験を行うため、一方のアンテナで受信した信号を周波数変換せずに増幅した後、他方のアンテナの受信機内部に放射することで、2つのアンテナからの信号を重畳した。これは高価な原子時計を使用しない干渉計システムである。天体の信号源として確実な強度がある静止衛星電波を使ってテストしたところ、二基のアンテナの距離の関数として受信強度に周期的な変動を観測でき、干渉計として機能していることを確認した。 さらに、長時間の積分を行うため位相測定技術の開発が重要となるので、別の小型BS衛星放送受信システムを改造した実験装置を製作(既存の装置を改造)し、静止衛星の電波を観測した。その結果、静止衛星の信号を使って位相の情報を得ることに成功した。これを改良することで、最終的な山口32m電波望遠鏡-BSアンテナ間のVLBI観測を実現するという目標に近づくことができる。
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