2004 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴イオン化質量分析法による電子ニュートリノの検出に関する研究
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16654039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蓑輪 眞 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90126178)
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Keywords | ニュートリノ / 原子炉 / レーザー / 共鳴イオン化質量分析 / 質量分析 / 飛行時間 / 四重極質量分析 / マイクロチャンネルプレート |
Research Abstract |
ニュートリノ観測実験が精密化されるためには、新しい検出技術の開発が必須である。われわれは、放射化学的方法によらない微量元素分析技術のなかで、共鳴イオン化質量分析法を応用して低エネルギーニュートリノ検出を試みている。 この方法では、放射化学的方法とは異なり、ニュートリノ捕獲によって作られる元素が適当に短い半減期を持っている必要がないため、ニュートリノ検出のターゲットとして使用できる物質の制限が少なく、物質の選択の幅が大きく広がる。さらに、カウンター実験と違い、検出のための電子的センサーを必要としないため、装置を小型化できる可能性がある。また、エネルギー閾値の低いターゲットを選ぶことも可能で、低エネルギーニュートリノの検出に有利である。 本年は、東海村の原子力関係の施設で共鳴イオン化質量分析器の調査を行った。その結果、改良のための開発研究を進めれば、ニュートリノ検出への応用は十分に可能であるとの感触を得た。ただし、当該研究グループから波長可変LASERは借用できなかったので、飛行時間分析器の加速電極、静電集束レンズの有限要素法による設計を行った。そして実際にイオン検出部を含む飛行時間分析器の真空系を試作した。また、フィラメントによる熱電子でイオンを生成し、イオン電流の最適化を行った。また、イオンコレクタによる検出のための高速アンプ、マイクロチャンネルプレートによるイオン検出の試験などを行った。さらに、四重極質量分析計の試験、およびイオン生成効率の最適化のために各種イオン発生装置の試験も年度末にかけて行う。
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