2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16654068
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
深尾 浩次 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (50189908)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猿山 靖夫 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50162532)
|
Keywords | 揺動散逸定理 / ノイズスペクトル / ずり流動 / ガラス状態 / エイジング効果 / メモリー効果 / 電気接点 / 誘電測定 |
Research Abstract |
本研究では過冷却液体状態にある物質に対して、ずり流動を印加することにより、非平衡状態を実現し、そこでの揺動散逸定理(FDT)の破れを振動回路のノイズのパワースペクトルを測定することにより、実験的に検証する。さらに、解析パラメータとして決まる有効温度を評価し、非平衡状態での‘温度'としての可能性を検討することを目的としている。このような目標実現に向けて、昨年度の経過を踏まえて、今年度は以下の手順で研究を進めた。 1)ずり流動下での電気測定、特に、誘電測定が可能なシステム構築のため、現有備品である動的弾性装置を改良し、振動ずり変形下での誘電測定が可能なシステムを昨年度構築した。このシステムは振動ずりのみ印加可能であったので、この装置を改良することにより、定常ずり(回転的なずり変形)が印加可能なシステムへと発展させた。現在、電気接点を調整し、ずり流動下での誘電測定実施の準備を行っている。 2)揺動散逸定理の破れたガラス状態でのダイナミクスが示す現象であるエイジング現象を誘電測定により調べた。特に、ポリメタクリル酸メチルとポリスチレンにおいて、エイジングダイナミクスを明らかにするとともに、興味深いメモリー効果、若返り効果の存在を明らかにした。これにより、ガラス状態の性質の一部が明確になった。 3)以上のような成果を踏まえて、ずり流動を印加した条件下でのノイズのパワースペクトルの評価による揺動散逸定理の破れの検証を試みているが、現在までのところ、ノイズレベルを超えて、その破れを主張できるには至っていない。このプロジェクトは本年度が最終年度であるが試料の調整などにより、有意なシグナルを得ることができるように、今後とも本研究を推進してゆく。
|
Research Products
(6 results)