2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16655004
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
尾関 寿美男 信州大学, 理学部, 教授 (60152493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤尾 克彦 信州大学, 理学部, 助手 (60238540)
飯山 拓 信州大学, 理学部, 助手 (30313828)
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Keywords | 水素 / トンネル効果 / トンネル反応 / 磁場 / 電子移動 / 自己組織化膜 / 活性炭素繊維 / フラーレン |
Research Abstract |
トンネル現象への磁場効果を検証するために、典型的なトンネル反応である低温での水素/芳香族分子反応と電極上での脂質膜を介してのトンネル電子移動を調べた。前者については、圧力応答による水素吸着量検出と質量分析による反応の実証、および同位体効果を検討し、後者については、最適電極系の作成、イオン対複合膜の安定化、膜形成の実証などをデータを取りながら、検証した。超伝導マグネットによる磁場印加システムを構築し、強磁場印加効果を検討した。 反応性水素原子を水素分子から発生させるために紫外光と水素吸蔵合金を用いた。トンネル反応を追跡するために15K級クライオスタットにサファイア窓とガス導入部を設け、圧力変化を鋭敏にしかも温度揺らぎの影響を避けるために差圧を検出し、質量分析器に接続して反応物を確認した。ベンゼン/水素/活性炭素繊維系、シクロヘキセン/水素/水素吸蔵合金系で水素付加反応の温度依存性を調べ、トンネル反応が進行することを見出した。これは重水素による同位体効果によって検証した。磁場はトンネル反応の種類に依存して、抑制にも促進にも寄与することが判った。 カーボンナノチューブへの水素吸着は低温で磁場によって影響され、水素分子凝縮相の磁性がバルク磁性と異なることを発見した。芳香族分子と水素原子とのトンネル反応をサンプル固体なしで検討し、圧力減少を鋭敏に検出した。質量分析器による反応物の検出には至っておらず、また、温度変化によるトンネル反応の検証にも成功していない。 電極上のカルボキシル基をもつ自己組織化膜(SAM)上に陽イオン性脂質膜を自己組織的に複合化させ、イオン対を介した電子移動系(トンネル系)を構築した。鉄錯体水溶液-脂質複合膜-電極系でのレドックス反応への磁場効果をサイクリックボルタンメトリーによって検出した。特別な複合化手法によってのみトンネル電子移動系を構築でき、磁場によって電子移動を制御できることが分かった。
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