2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16655008
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
冨宅 喜代一 神戸大学, 理学部, 教授 (00111766)
|
Keywords | 衝突誘起電子移動反応 / 極低イオン化エネルギー / クラスター |
Research Abstract |
本研究では、極めて低いイオン化エネルギーをもつクラスター[NH_4(NH_3)_nやNa(NH_3)_n等]と電子受容体との衝突誘起電子移動反応のサイズ依存性を調べ、クラスター内で非局在化した価電子の分布状態の情報を得ることを目的としている。本年度は、以下の研究を行った。 1.種々の試料圧で衝突実験ができる反応容器を試作し、現有の質量分析器のイオン化部位に設置して、反応セルの基礎的性能を検討した。またNH_4(NH_3)nクラスターとWF_6等の電子受容体との衝突で誘起される電子移動反応を調べるため、超音速自由噴流法で生成したアンモニアクラスターに、193nmのエキシマーレーザーを照射して、光分解によるクラスターの生成の予備実験を行った。ここでは反応セル内に質量分析用の引き出し電極を設置し、反応で生成するイオンの解析を行うが、反応セルの直前で行うクラスターの生成に伴って発生する大量のイオンがセル内に流入し、反応生成物の検出の妨げとなる。この問題を解決するために、新しいセルを開発した。現在、電子受容体としてWF_6を用い、反応で生成するWF_6^-負イオンを飛行時間型質量分析器で検出と、反応収量の定量的な測定法を確立するために検討を進めている。 2.極低イオン化エネルギーのクラスターの開発 反応実験に用いる極低イオン化エネルギーのクラスターを開発する目的で、M(H_2O)_n(Mg、Ca)を生成し、イオン化エネルギーの測定を行った。この結果、アルカリ金属原子の系と同様に、8個以上の水分子の配位によりイオン化ポテンシャルは3.1eVに収束することが実験的に明らかになり、金属原子のクラスター内での自発的イオン化を示唆する新しい結果が得られた。
|