2004 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素原子上に不斉中心を有する光学活性4配位ホウ素化合物の合成と反応
Project/Area Number |
16655011
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
今本 恒雄 千葉大学, 理学部, 教授 (10134347)
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Keywords | 不斉ホウ素原子 / ホウ素化合物 / 求核置換反応 / 親電子置換反応 / ホウ素アニオン / ボスフィン-ボラン / 光学活性 / エナンチオマー |
Research Abstract |
不斉炭素原子を有する光学活性化合物に関する大きな学問体系と比較して,炭素原子よりも原子番号がひとつ小さいホウ素原子を不斉中心にもつ化合物の化学はほとんど未開拓である。本研究の目的は,不斉ホウ素原子を有する光学活性化合物の有用な合成法を開発し,それらの化合物の性質を明らかにすることである。特に,ホウ素原子上での求核置換反応と親電子置換反応の立体化学について詳細に検討し,対応する炭素化合物との相違点を明らかにする。また,ホウ素原子上にカルボキシル基,水酸基,カルボニル基,アミノ基等の官能基を有する光学活性体を合成し,それらの分子構造,物性および立体特異的反応性を解明する。初年度は,目的とする化合物の合成に力点を置いて研究を進め,以下の結果を得た。 リン原子上に芳香環,脂肪族置換基,アルコキシ置換基を有するホスフィンボランを合成し,それらとヨウ素,N-ブロモコハク酸イミド,塩化スルフリル等との反応を試みた。ヨウ素との反応ではホウ素原子上にヨウ素原子が置換した化合物が得られた。それらヨウ化物と一電子還元剤との反応によってエステル体を得た。さらにそれらと塩化水素および臭化水素を反応させて対応するハロゲン化物を得た。これらのキラル四配位ホウ素化合物のキラルカラムを用いる直接光学分割を試みたが,未だ分割には成功していない。 一方,ホスフィン-モノアシルボランに一電子還元剤存在下塩化ピバロイルと塩化アダマンタノイルを反応させて対応するアシル誘導体を良好な収率で合成した。さらにこれらの化合物に立体構造を単結晶X線構造解析によって明らかにした。これらの化合物のシリルエノール体への変換とホウ素原子上で新電子置換についても検討した。
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