2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロリアクターを用いる高立体選択的光化学反応の開発
Project/Area Number |
16655018
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
水野 一彦 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 教授 (10109879)
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Keywords | マイクロリアクター / フローシステム / スパイラルリアクター / バッチシステム / 流路 / 光化学反応 / 光環化付加反応 / 光転位反応 |
Research Abstract |
マイクロリアクターが有機化学における新しい反応容器として期待されているにもかかわらず、光反応についてはほとんど検討されていない。本研究では、マイクロリアクターの特性を用い、高効率・高選択的な光化学反応システムの開発を目的として研究を行ない、以下の成果を得た。 (1)流路幅50-200μm、流路の奥行き10-50μm、流路長120-250mmのPyrex製マイクロリアクターを用いて1-シアノ-2-アルケニルナフタレン類の分子内光環化付加反応を行なった。その結果、生成物の収率と選択性は流路の形状、流速、光量によって制御可能であり、バッチシステムで行なった反応に比べて短時間で、かつ高選択的に分子内光環化付加体が生成することを見出した。アリールナフチルメチルエーテルの光クライゼン転位反応について検討した結果、バッチシステムではオルト位およびメタ位への転位生成物、溶媒かごからの抜け出しによる化合物が得られたのに対し、マイクロリアクターの流路の形状と流速の最適化により、オルト位への転位生成物を選択的に得る系の設計に成功した。電子移動を経由する1,2-ジアリールシクロプロパンのシス-トランス光異性化反応においても、バッチシステムに比べて反応効率と生成物の選択性が著しく向上した。これらの反応効率の向上はLambert-Beerの法則により奥行きの浅さに起因し、選択性の向上はフローシステムによる一次生成物を反応系外へと追い出す効果によるものと推定した。 (2)さらなる反応効率の向上と収量の増加を目的として、光源に巻き付けるタイプのスパイラルリアクターを開発した。たとえば流路幅300μmのスパイラルリアクターを用いるとベンジリデンマロノニトリルの光アリル化反応の効率が飛躍的に向上し、40分間の光照射で5,5-ジシアノ-4-フェニル-1-ペンテンが定量的に生成することを明らかにした。
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