2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子型量子ドットセルラーオートマトンを目指した混合原子価環状四核錯体
Project/Area Number |
16655019
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山口 正 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (40230362)
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Keywords | 金属錯体化学 / 混合原子価錯体 / 量子ドットセルオートマトン |
Research Abstract |
Longらの合成したCreutz-Taube四核錯体に類似した錯体[(cyclen)4Ru4(pz)4]n+(cyclen=1,4,7,10-tetraazacyclododecane)の合成を追試した。対陰イオンを変化させて(ClO4-,PF6-,CF3SO3-,BPh4-,etc)合成したが,いずれも四核骨格は形成しているものの単離状態ではすべて二価の単一原子価状態であり。Longらの報告する用に混合原子価状態ではなかった。詳細に検討したところ,Longらと全く同様な条件で合成した場合,配位子cyclenが部分的に還元され,一部のC-N結合がイミン化(C=N)されることが分かった。各Ru上のcyclenにC-N結合が8箇所有り,Ruのサイトによっては酸化されないcyclenも存在することから,四核錯体としては数多くの異性体(さらに配位子の酸化の程度の異なるもの)の混合物が得られていることが明らかになった。これらの異性体の構造が大きく変わらないことから,Longらの結晶構造解析においては結晶が混晶として得られdisorderのために平均の構造が見えていたものと考えられる。そこで本研究では,還元条件下において合成を行い,精製を繰り返し純粋な[(cyclen)4Ru4(pz)4]8+を得た。電気化学的測定を行った結果,2段階の不可逆な酸化波が観測され,2電子ずつ酸化されていることが示唆されたが,非可逆なためQCAとしては不的確であることが明らかになった。この非可逆性を調べるため単核錯体,[Ru(cyclen)(py)]2+を合成し電気化学的測定を行ったが,この錯体も非可逆な酸化還元挙動を示し,Ru(cyclen)骨格に非可逆性の原因があることが明らかになった。
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