2004 Fiscal Year Annual Research Report
ディスク状多座配位子を利用した金属イオンの多次元精密集積化と動的機能発現
Project/Area Number |
16655020
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩谷 光彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60187333)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 秀一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10322538)
|
Keywords | ディスク状他座配位子 / 自己集合 / 銀(I)イオン / サンドイッチ錯体 / 分子運動素子 |
Research Abstract |
本研究は、金属イオンが様々な配位数、配位方向を有し、また金属イオンの種類によって金属-配位子交換速度をコントロールできることに注目し、ディスク状多座配位子を利用した分子ボールベアリングを開発することを目的とした。 三座および六座の二つのディスク状配位子および三つのAg^+を用いて、ボールベアリング様の回転運動が可能な分子素子をつくることに成功した。溶液内の構造およびその回転メカニズムについては、主に温度可変NMRおよびESI-TOF型質量分析を用いて明らかにした。溶液内では、二つのディスク状配位子が、三つのAg^+をそれぞれ二配位で挟むようなサンドイッチ型構造をとっており、mMの濃度領域ではこの構造は定量的に形成されている。二つのディスク状配位子間の相対的回転運動は、Ag^+の三配位構造を経由する金属-配位子変換、および配位結合を保ったままのらせん構造間(P型とM型)のフリップ運動から成り、室温で約8,000回転が可能である。配位子の環サイズや配位子環上の置換基の種類などを変えることにより、それぞれ、フリップ運動や金属-配位子変換のエネルギー障壁を調節することが可能であり、その結果、回転速度を制御できることがわかった。回転方向の制御や外部刺激による運動制御については、現在検討中である。
|