2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16655023
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松本 尚英 熊本大学, 理学部, 教授 (80145284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 政明 熊本大学, 理学部, 助教授 (00172437)
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Keywords | 単分子磁石 / 希土類イオン / ヘテロ金属錯体 / 磁性 / 環状構造 |
Research Abstract |
分子磁性体の研究は、最近20年間で飛躍的な発展をとげ、分子レベルから多様な磁気的性質をもつ錯体磁性体が開発されている。これら磁性体の中でも特に単分子磁性体に多くの研究者の注目が集まっている。単分子磁性体はこれまで第一遷移金属元素を含むMn_<12>クラスター化合物等遷移金属クラスター化合物に見出されている。分子が単分子磁性体となる条件は、大きなスピン基底状態をもつこと、並びに大きな磁気異方性をもつことである。我々は、希土類イオンの磁気異方性に注目してd-fヘテロ金属多核錯体新しい単分子磁石になりうると考えて研究を進めてきた。今回、大きな磁気異方性を持つTb^<III>、Dy^<III>を含むd-fヘテロ金属多核錯体に単分子磁性体の磁気挙動を見出した。 d-f金属イオンが環状に交互配列した4核錯体を分子設計して合成した。X線結晶解析により、[Cu^<II>LTb^<III>(hfac)_2]_2は[Cu^<II>L]が架橋性錯体配位子として働いてCu^<II>イオンとTb^<III>イオンが交互に配列した環状四核構造をとっていることを確認した。磁化率温度変化を測定し、Cu^<II>-Tb^<III>間、Cu^<II>-Dy^<III>間に強磁性的相互作用が働くことを確認した。磁化測定は、磁気異方性の存在を示した。[Cu^<II>LTb^<III>(hfac)_2]_2の交流磁化率を1.8-5.5Kの温度範囲で測定した。実数成分_<χM>'および、虚数成分_<χM>"ともに周波数依存を示した。周波数依存性は、本系が単分子磁石の特徴をもつことを示した。_<χM>"のピークをArrehenius Plotして、τ_0=2.78×10^<-8>、Δ/k_B=21Kが得られた。T_B=1.2Kであった。 d-fヘテロ金属多核錯体[Cu^<II>LLn^<III>(hfac)_2]_2は単分子磁石として有効な条件を備えている。(1)3d金属を配位供与性錯体配位子、4f金属を配位受容性錯体配位子として集合反応させることにより、簡単に合成できる(2)3d金属クラスターより少ない核数で、高スピン量子数を獲得できる(3)4f金属により容易に磁気異方軸を獲得できる。
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Research Products
(2 results)