2004 Fiscal Year Annual Research Report
マトリックス感応性高分子を用いるオンチップ試料前処理
Project/Area Number |
16655028
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齋藤 徹 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40186945)
|
Keywords | 温度感応性高分子 / マイクロ分析システム / 濡れ制御 / 加温 / 冷却 / マニュピレーション / マトリックス成分 / 物質刺激感応性 |
Research Abstract |
試料成分によって自律的な分離・分析を可能にするマイクロ分析のための流路システムの前提として、流路自体が持つ制御機能を外部からの簡単な刺激によって駆動する方式の実現について検討した。その方策として、温度感応性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)薄膜をシランカップリング処理と水系高分子重合によってガラス上に被覆した流路の濡れを温度によって制御することによる溶液マニピュレーションを試みた。その結果、温度勾配に起因する濡れ性の勾配によって水溶液を移動させることができたのみならず、サンドブラスト加工によって作製された微細な凹凸を持つ流路においては温度による親水性⇔撥水性制御が可能となり、流路における溶液の分配が可能となった。従来、マイクロ分析システムにおいては、送液にはポンプや電気浸透流を、溶液分配には精密加工による弁や電気浸透流などによる送液をコンピューター制御によって複雑に制御しており、これによってマイクロ分析システムが膨大な支援システムを必要としていた。これに対して本方式では、流路の一部分にベルチェ素子やヒーター線を配置し、数ワットの直流電流の極性や強度を調節することによって高分子水溶液の相転移温度である下部臨界温度32℃をまたいで加温・冷却するだけで溶液を流路の任意の場所に送ることが可能となった。次に、化学物質による制御方法として、温度感応性高分子合成時にカルボン酸やアミンを含むモノマーと共重合させることによって、塩及び界面活性物質の添加によって親水⇔疎水性変化を起こすことができる物質感応性高分子を調製することができた。さらに、棟や多価アルコールに対して親和性を持つホウ酸基やカルシウムなどの金属イオンと結合するキレート性官能基を導入することによってこれらの物質がマトリックス成分である試料に対して感応しうる分離材料への可能性が拓けた。
|