2004 Fiscal Year Annual Research Report
歪みのないメチレン鎖の新規触媒的炭素-炭素結合切断反応の開発
Project/Area Number |
16655036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
光藤 武明 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦 康之 京都大学, 工学研究科, 助手 (40335196)
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Keywords | ルテニウム錯体 / メチレン鎖 / 炭素-炭素結合切断 / 配向基 |
Research Abstract |
歪みのある基質の炭素-炭素結合切断過程を経る新触媒反応として、我々は最近ルテニウムおよびロジウム錯体触媒を用いたシクロブテノンからの2-ピラノン、シクロペンテンまたはシクロヘキセノン類の選択的な合成反応の開発に成功している。本研究では、1)歪みの小さい、あるいは歪みを持たないメチレン鎖の切断反応に関して、結合切断能が高い電子豊富な金属中心を有する新規低原子価錯体を合成した。比較的解離しやすい配位子を持った種々のルテニウム-ターピリジン錯体(例えば[Ru(tpy)(diene)(L)]2^+(tpy=2,2′:6,2″-terpyridine;diene=2,5-norbornadiene,1,5-cyclooctadiene;L=H_2O,pyridine,acetonitrile)など)の合成を行った。2)1で合成した錯体を用い、両末端にアミノ基やピリジル基をはじめとする各種配向基を持ったメチレン鎖の触媒的炭素-炭素結合切断を試みた。現時点では結合切断が起こる反応系はまだ見つかっていない。3)錯体化学的なアプローチとして、配向基を利用し歪みのないメチレン鎖部位を電子豊富な金属中心近傍の空配位座に近づけることにより炭素-炭素結合切断が起き得るような、より構造の固定された多座配位子の設計・合成について現在検討しており、そのような配位子として、例えばメチレン鎖で両側のイミノ基同士が架橋された環状ビスイミノピリジン誘導体の合成を行っている。これらの配位子を基質として、特に歪んだ炭素-炭素結合や炭素-水素結合切断に高い活性を示す0価ルテニウム錯体を用い、メチレン鎖の炭素-炭素結合切断過程の量論反応と触媒反応について検討している。
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